2014年12月26日金曜日

ビットコインの限界

今年、取引所の一つが破綻したことなどで価格が急落した仮想通貨ビットコイン。その将来性に期待する声はまだ根強いものの、残念ながら、ビットコインや同種の仮想通貨が、政府・中央銀行が発行する現在のカネに取って代わるほどの存在に成長するのはむずかしいだろう。なぜなら仮想通貨はカネになるための根本的な条件を欠いているからである。

ビットコインの価格は、今年2月に取引所の一つである東京のマウントゴックスが経営破綻する直前に最高値の1200ドル程度まで暴騰した。同社の破綻後、価格は急落し、最近は300ドル台で推移している。

ビットコインの発行には政府・中央銀行を必要としない。このため、経済学者ハイエクの思想などにもとづき国家による貨幣発行の独占を批判する自由主義者(リバタリアン)の一部から強く支持されている。

しかしリバタリアンの中には、ビットコインへの過大な期待を戒める人々もいる。その一人であるエコノミストのフランク・ショスタク(Frank Shostak)は、ビットコインが政府貨幣に取って代わるという予想は、カネの本質を理解していないことから生じる「夢物語」だとして、以下のように説明する

カネは物々交換が複雑な取引に変化する過程で生まれる。カネの特徴は、どんな物とも交換できる仲立ちの役割を果たすことである。それは市場性のある商品から進化する。ハイエクの師である経済学者ルートヴィヒ・フォン・ミーゼス(Ludwig von Mises)が述べたように、交換の仲立ちとしてより受け入れられやすい商品がそれほどでもない商品に次々と取って代わり、最後に誰もが受け入れるただ一つの商品が残る。それをカネと呼ぶのである。

だから物がカネとして使われるようになるためには、それ以前に、何か別の用途にもとづく価値がなければならない。カネとして受け入れられる前に、他の用途にもとづく価格がついていなければならない。

いったんカネとして受け入れられれば、それ以外の有用性がなくなっても、カネとして使い続けられる。昔は金(きん)の裏づけのあった政府貨幣にその裏づけがなくなっても、カネとして使い続けられているのはそのためである。

長い選別の過程を経て、人間は最も受け入れられやすい商品として金を選んだ。金は現在の政府貨幣の価値の基盤を築いた。

しかしビットコインはそもそも物ではない。政府貨幣に交換できると人々が信じているから機能するのである。新しい形の本物のカネではなく、政府貨幣を取引に使うための新手の方法にすぎない。したがって現在の政府貨幣に取って代わることはできない、とショスタクは結論する。

ビットコインやその他の仮想通貨が便利なサービスとして成長する可能性はある。しかしカネとしてかつての金よりも優れた存在になれるかは疑問といわざるをえない。

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