2015年1月8日木曜日

パリ銃撃、真の教訓

パリ中心部の風刺週刊紙「シャルリエブド」本社に7日、覆面をした複数の人物が押し入り銃を乱射し、同紙の編集長を含む少なくとも12人を殺害したオランド仏大統領をはじめ欧米日首脳は「表現の自由への攻撃」と犯人を非難し、テロとの対決姿勢をあらためて鮮明にしている。物理的危害を加えられたわけでもないのに、他人を殺傷することが許されないのはいうまでない。だが政府の強硬姿勢を支持することが賢明とは言えない。

いきり立つ政府とは対照的に冷静な識者の見方を紹介しよう。米ジャーナリスト、ロバート・ウェンゼル(Robert Wenzel)は事件の第1の教訓として、シャルリエブド紙の社員たちが自衛の備えもないままに、報復をまねくような記事を載せたことが問題だったと指摘する

ウェンゼルは書く。人を怒らせれば、報復されるかもしれない。報復に対処したくなければ、人を怒らせるようなことをしてはいけない。政府は助けてくれない。

正気を失った人々を怒らせれば、報復も常軌を逸したものになるだろう。それがパリで起こった。明らかにシャルリエブド紙は、みずからが直面する脅威の大きさを計算しそこねた。代償は高くついた。

他人を怒らせることそのものは悪くない。知っておかなければならないのは、報復の可能性があるということだ。現実の世界では、報復はさまざまな程度で現実になりうる。報復に対処するすべがないのなら、最初から危険なゲームに手を出さないことだ――。

ウェンゼルは、パリの銃撃は恐ろしい出来事だと認めたうえで、こう繰り返す。「今回の教訓は、もし人を怒らせればつけ狙われる恐れが大きいから、それに備えなければならないということだ」。現実世界で身の安全を守るには、こうすればこうなると計算したうえで行動しなければならないという、常識的で冷静な戒めである。

ウェンゼルはもう1つの教訓として、政府関係者の便乗主義を挙げる。彼らはどんな悲劇にも飛びつき、将来の再発を防いでみせると嘘をつく。そして国民の財布からカネを奪い取ろうとする。「怖いのはこの犯罪者たちだ」とウェンゼルは辛辣に言う。「政府はこちらが何もしないのに襲ってくるし、それをいつまでもやめない」

元米連邦下院議員のロン・ポール(Ron Paul)はテレビ番組で、別の教訓に言及した。ポールによれば、銃撃は「おぞましい」ことだが、仏政府の対外介入政策に対する報復でもある。「フランスは介入政策のせいで長年(テロの)標的になってきた。最近はリビアに介入し、米国を引っ張り込んだ。アルジェリアにも介入し、今回のような攻撃をしばしば受けてきた。(パリ銃撃は)フランスの外交政策にもかかわりがある」

フランスを含む西側諸国は中東で侵略的な介入政策に携わり、何百何千もの人々の命を奪う一方で、独裁者や武装過激派をしばしば支援してきた。何もなしですむわけがない、とポールは指摘する。「報復をもたらしたのはこうした政策全般で、中東の人々は西側諸国を不法侵入者とみている。パリの事件のように彼らが西側諸国にやって来て一般市民を襲った場合、物事はそう単純ではない。しかしそれでも外交政策と切り離して考えることはできない」

ポールは正しい。西側諸国でテロ事件が起こると、今回のパリ銃撃のように、恐怖を煽るように詳しく生々しく報道される。しかし西側政府がテロとの戦いと称し、中東や中央アジアで多くの一般市民を殺傷する様子はほとんど報じられない。テロは許さないと激して叫ぶ前に、テロがなぜ起こるのかをよく考えなければならない。

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