2015年1月6日火曜日

ロン・ポールの控えめな提案

徹底した自由主義者(リバタリアン)として知られる米国の元連邦下院議員ロン・ポール(Ron Paul)が新年を機に、議会に十の決議案を提案している。彼の首尾一貫した考えがよくわかるので、少し長くなるが全項目を紹介しよう。

(1)在外米軍の撤収
 超介入主義的な外交政策を終わらせるために、在外米軍を撤収させ、海外基地設備をすべて閉鎖する。米国民は帝国のコストを負わずにすむようになる。

(2)連銀監査法案の可決
 連邦準備銀行の金融政策が、多額の予算を使う政治家や金融エリートを潤し、一方でふつうの米国人を害している実態を、国民は知る資格がある。

(3)愛国者法の廃止と国家安全保障局の抑制
 エドワード・スノーデンによって国家安全保障局(NSA)がどれだけ憲法違反のスパイ活動をおこなっているかが明らかにされてから、やがて2年になる。しかし議会はいまだに監視国家を綱につなぐことを拒んでいる。令状主義を定めた憲法修正第4条の尊重を取り戻すため、情報監視の根拠とされる愛国者法第215条を失効させなければならない。

(4)運輸保安局の廃止
 米国人の航空旅客すべてを犯罪容疑者として扱い、わずらわしくて屈辱的な検査に従わせても、国民の安全はまったく強化されない。運輸保安局(TSA)を廃止し、飛行機の安全に関する責任は航空会社に返すべきである。政府が邪魔をしなければ、民間企業は乗客乗員の安全をきちんと守れる。

(5)企業助成の全廃
 政治に結びついた企業に補助金その他の特別な便益を与える連邦政府の政策は、経済上の不平等をもたらし、市場をゆがめ、血税を浪費する。貧困層への助成を削減する前に、富裕層への助成を削減することは、政治的にも道徳的にも理にかなう。まずは米国輸出入銀行(EIB)と海外民間投資会社(OPIC)を廃止しよう。シェルドン・アデルソン氏が主張するオンライン賭博禁止のような、特定の産業や個人に利益を供する法案も拒否しなければならない。

(6)オバマケアの撤回・代替
 オバマケアのせいで、米国人の多くが医療保険を失い、他の人々はヘルスケアのコスト増大に直面している。オバマケア撤回はほんの第一歩。ヘルスケア市場をゆがめる連邦政府の政策をすべてやめ、真に自由な市場を取り戻さなければならない。

(7)警察軍隊化の中止
 8月にミズーリ州ファーガソンで丸腰の黒人少年マイケル・ブラウンが警察官に殺害された事件をきっかけに、警察の軍隊化が全国で議論を呼んだ。地方の警官隊に軍装備品を供給する連邦政府の政策は、すべて中止しなければならない。

(8)教育省の廃止
 米国の教育悪化が連邦政府による教育支配の強化と軌を一にしているのは、偶然ではない。連邦政府のあらゆる教育予算を引き揚げ、教育の権限を地域社会と親に戻さなければならない。

(9)個人の脱退権
 自由な社会を立て直す前向きな一歩として、オバマケアその他の連邦政府の強制保険から個人が脱退する自由を認めなければならない。若者は望めば、社会保障と医療保険の給付を受けない代わりに、社会保障税と医療保険税を納めなくてよいようにすべきである。

(10)州政府の脱退権
 連邦議会で対麻薬戦争の中止やオバマケア撤回、その他憲法違反の政策の中止を可決できない場合、少なくとも州がこれらの分野で独自の政策をおこなう権利を尊重すべきである。オバマケアを無効に、マリファナを合法にする州法を連邦政府が禁止するようなら、州の権限留保を定めた憲法修正第10条の意図とあべこべになってしまう。

大胆すぎると驚く人も少なくないだろう。しかしポールにいわせれば、自由の国だったはずの米国の病状はそれほど深刻ということである。現状を放置すれば、「独裁政治、帝国、国家破産、経済衰亡に向かってじわじわと滑り落ちてゆく」とポールは警鐘を鳴らす。もちろん日本にとっても対岸の火事ではすまない。

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