2016年2月17日水曜日

〔本〕大竹文雄『経済学的思考のセンス』


格差拡大の神話


新自由主義的な経済政策のせいで日本でも所得格差が広がったといわれるが、その原因は単身世帯と高齢者の増加にすぎないと、客観的な分析に基づき指摘。単身世帯は一般に所得が少なく、高齢者は所得格差が大きいので、これらの世帯・人口が増えると社会全体の格差が広がったように見えるのである。所得再分配の強化を求めるなど賛同できない部分もあるが、格差拡大の神話を暴いたことは貴重。

<抜粋とコメント>

"世帯人員を調整して日本の不平等度を計算すると、九五年以降ほとんどその上昇はみられない。"
# 単身世帯はその他の世帯に比べ所得が少ない傾向があるため、単身世帯が増えると社会全体の所得格差が拡大して見える。

"日本の所得不平等度の上昇の原因の多くは、人口高齢化と世帯構造の変化にある。"
# 高齢者は所得格差が大きいので、高齢者の割合が高まると社会全体の格差が拡大して見える。

"日本では、実際には所得格差がそれほど拡大していないにもかかわらず、所得格差の拡大について大きな関心がもたれている。"
# 日本における格差への高い関心は、現実の所得格差とは別のところに理由がある。

"階層間の移動の可能性が高ければ、現在所得が低い人であっても、努力すれば高所得者になることが可能であるので、努力の結果格差が生じることを容認するはずである。"
# 欧州では貧しい人は格差を気にするが、米国ではしない。

"労働市場のさらなる整備と能力開発の促進を通じて、将来の逆転が可能な社会にしていくことが、若年層に拡がる閉塞感を打破するために必要"
# 格差への不満をなくすために必要なのは、再分配政策ではなく、規制緩和と減税。

*寸評はアマゾンレビューにも投稿。
*抜粋とコメントはツイッターより転載。

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