2016年2月29日月曜日

〔本〕網野善彦『日本の歴史をよみなおす』


「日本人に市場経済はなじまない」のウソ


「日本人はもともと農耕民族だから、米国流の市場経済はなじまない」という意見をよく耳にする。しかし、それは歴史的事実に反する。本書によれば、中世の僧は職人を動員して寺社の修繕を請け負う企業家であり、唐船に乗り込んで中国との貿易に携わる商人でもあった。貴族や寺院・神社の支配する荘園は、田畠だけに依存する自給自足経済ではなく、海や河を利用した交易なしに成り立たなかった。マルクス主義から出発した著者によって、企業家精神にあふれたダイナミックな日本社会の姿がよみがえる。

<抜粋とコメント>


"律僧は勧進によって集められたものを資本として運用する企業家であり、また貿易商人としての役割もはたしていた"
# 寺で学問漬けのイメージとはかけ離れた、鎌倉時代のお坊さんによるグローバル資本主義。

"自らの立場を保つためにそれなりに必死だった当時の支配者、貴族や寺院や神社は、決して田畠のことだけ考えて所領を集めていたわけではありませんでした。もちろん、荘園の田畠に賦課されている年貢や公事、いろいろな特産物も、十分考慮に入れていますが、それだけではなく、津、泊、浦など、河海の交通、山野なども計算にいれ、総合的に考えて荘園を設定しているのです。"
# 中世日本の水運ネットワーク。

"荘園制は本来、自給自足経済であったという、一時期まで通説だった見方にまったく根拠がないことは明らかです。"
# 里山資本主義で自給自足? 鎌倉時代の人はたぶん嫌がるでしょう。

"「明治維新」を推進した薩摩、長州、土佐、肥前の諸藩は、辺境のおくれた大名などではなくて、みな海を通じて貿易をやっていた藩"
# 自給自足では経済力も国際情勢の知識も養えない。

"日本社会の古くからのことばが現在でも商業用語として用いられている…この分野では翻訳語を用いる必要がなく、自前のことばを使って十分通用した"
# 相場、手形、株式。資本主義は日本の伝統。

アマゾンレビューにも投稿。

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