2016-03-31

安全保障の能力

# 日本の安全を守ると政府。問題は鉄道や年金、郵便も満足に経営できないのに、その能力があるかどうかです。しかもよその政府と一緒に。
--安全保障関連法が施行 集団的自衛権、行使可能に
http://www.huffingtonpost.jp/2016/03/28/anpo-abe-start_n_9559304.html

# 昔の陸軍と海軍を思わせる、文科省と厚労省の縄張り根性。これで政府に安全保障が担えるのでしょうか。ましてや政府と政府の協力なんて。
--「保育園落ちた」の打開策“幼保一元化”はなぜ進まないか
http://diamond.jp/articles/-/88641

# 被疑者の人格を否定するような取り調べで自白を強いようとする警察。それをかばう裁判所。ブラック極まる官僚司法。
--だから冤罪はなくならない!警察の違法な取り調べを助長させる裁判所の「身内びいき」
http://biz-journal.jp/2016/03/post_14453.html

# 投資で絶対に避けなければならないのは「思考停止や盲信」。国が売る国債だから大丈夫などと信じないように。
--著名人推薦のオシャレな金融商品が破綻、一人7百万円の巨額損…だからあなたは騙される!
http://biz-journal.jp/2016/03/post_14446.html

#運転免許は不要に。自動車教習所にOBが天下る警察にインパクト大。
--交通事故の可能性解消へ…夜中に寝ながら移動も現実に 自動運転普及のインパクト
http://biz-journal.jp/2016/03/post_14447.html

2016-03-30

マイナス金利と財産権

# 当座預金にマイナス金利を課すのは、憲法上の財産権を侵害し、法的に疑義があるのではないか--。やっと国会質問でもただされた、重大な疑念。
--日銀は弾切れか、それとも限界はないのか
http://toyokeizai.net/articles/-/111195

# 減税のメリット⑴民間主導で持続的な経済成長を支える⑵裁量的な政府支出で資源配分を歪めない⑶増税を理由とした公的部門の肥大化を防ぐ--と正しい指摘。ならば「一時的」でなく恒久減税が筋です。
--「増税見送り」が妥当といえるこれだけの理由
http://toyokeizai.net/articles/-/111148

# それはなるでしょう。優秀な官僚の条件とは、1つでも多くの天下り先を作ることですから。
--社外取締役は「官僚」の天下り天国になるのか
http://toyokeizai.net/articles/-/111201

# 杜撰なコスト比較、露骨な議論誘導、議事録は作成せず…。県・市・商工会議所が結託してダメにする地方経済。
--ファンを置き去りにした、広島サッカースタジアム移転議論の内幕
http://diamond.jp/articles/-/88548

# THAADミサイルかイージスのほうがマシだが、それでも不十分と分析。結局外交に勝る道はなし。
--米パトリオットは北朝鮮のミサイルから日本を守ってはくれない
http://jp.sputniknews.com/opinion/20160328/1857829.html

2016-03-29

『恐怖による支配』(1)


政治の目的

他国を武力で守る集団的自衛権の行使容認を柱とする安全保障関連法が3月29日午前零時、施行された。政府は「万が一に備え国民の命や暮らしを守る万全の態勢を敷くには、平和安全法制は必要不可欠なもの」(岸田文雄外相)と強調する

問題は、果たして政府は「国民の命や暮らしを守る」組織として信頼できるかどうかである。たとえば政府は、公的年金の支給開始年齢を引き上げるという約束違反を繰り返している。しかし政府にいわせれば、支給開始年齢は国民と契約したものではない。だから反故にしても法的責任を問われない。

年金支給年齢すら守れないような政府が、「国民の命や暮らしを守る」ことができるとはとても思えない。同じ政府がやっている以上、公的年金保険料がグリーンピアに無駄遣いされる一方で、安全保障を名目とした予算だけはきちんと目的どおりに使用され、無駄遣いされないと考える合理的な理由はない。

政府は、老齢や病気に備えるには社会保障が欠かせないと宣伝してきた。同じように、「国民の命や暮らしを守る」ためには安全保障が必要だと、あらゆる手練手管を用いて国民に信じさせようとするだろう。H・L・メンケンがいうように、それが政治の目的だからである。

<抜粋>
臆病な人間は、荒海のような自由よりも穏やかな独裁を好む。(米大統領、ジェファーソン)
Timid men… prefer the calm of despotism to the tempestuous sea of liberty.

政治の目的とは、次々と果てしなく現れる怪物で大衆を怖がらせ、安全を求めさせることに尽きる。怪物のほとんどは張りぼてなのだが。(ジャーナリスト、H・L・メンケン)
The whole aim of practical politics is to keep the populace alarmed (and hence clamorous to be led to safety) by menacing it with an endless series of hobgoblins, most of them imaginary.

戦争は国家の健康である。(作家、ランドルフ・ボーン)
Throughout history, war has been a desirable tool for authoritarians. It is, in Randolph Bourne’s words, the “health of the state.”

国民に政治指導者を支持させるのはたやすい。君たちは攻撃されようとしていると告げる。平和主義者には愛国心がなく、国家を危険にさらしていると非難する。これだけでよい。(ナチスドイツの政治家・軍人、ゲーリング)
This was quickly dismissed by Göring: “Oh, that is all well and good, but, voice or no voice, the people can always be brought to the bidding of the leaders. That is easy. All you have to do is tell them they are being attacked and denounce the pacifists for lack of patriotism and exposing the country to danger. It works the same way in any country.”

政府の唯一の権力は、犯罪者を取り締まることだ。もし犯罪者が足りなければ、犯罪者を作る。なんでも罪にして、法を犯さずに暮らせないようにする。(作家、アイン・ランド)
All of this seems to fulfill a quote by Ayn Rand: There’s no way to rule innocent men. The only power government has is the power to crack down on criminals. Well, when there aren’t enough criminals, one makes them. One declares so many things to be a crime that it becomes impossible for men to live without breaking laws.

原著:Feardom: How Politicians Exploit Your Emotions and What You Can Do to Stop Them.

2016-03-28

国家は戦争を欲する(モリナリ)

仏経済学者、ギュスターヴ・ド=モリナリ(Gustave de Molinari)による1899年の著書『明日の社会』(The Society of Tomorrow: A Forecast of its Political and Economic Organization)より。

<解説>
未来のディストピアを描いた映画などで、政府機能が民営化され、警察や国防が大富豪の私利私欲を満たすために営まれる、といった設定がよくある。あたかも政府には私利私欲などないといわんばかりである。

しかしモリナリが指摘するとおり、政府にも私利私欲はある。政府も企業と同じく、生身の人間の集合だからである。政府を構成する支配階級は、一般人と同じく、あるいはそれ以上に、自分たちの欲望を満たすことに関心がある。

政府が欲望を満たす手段は、権力である。その権力を無制限に行使できる最大のチャンスは、戦争である。したがって政府には、戦争を引き起こすインセンティブ(誘因)がある。国民を戦争から守るという触れ込みとは裏腹に、政府は潜在的に戦争を欲している。

<抜粋>
あらゆる国家には支配階級と被支配階級がいる。支配階級は、自分たちの雇用を早く大幅に増やすことに関心がある。それが国家に害悪を及ぼすか、利益をもたらすかにかかわらず。
Every State includes a governing class and a governed class. The former is interested in the immediate multiplication of employments open to its members, whether these be harmful or useful to the State, and also desires to remunerate these officials at the best possible rate.

戦争状態は、被支配階級の生命と財産に無制限の権力を行使できることを意味し、支配階級は政府の雇用を思いのままに増やせるようになる。つまり、自分たちの雇用を増やせる。
A State of War, implying an unlimited power of disposition over the lives and goods of the majority, allows the governing class to increase State employments at will—that is, to increase its own sphere of employment.

政府雇用のかなりの部分を占めるのは、文明国家において破壊的行為を担う組織である。この組織は、敵国が力を増すたびごとに成長する。
 considerable portion of this sphere is found in the destructive apparatus of the civilised State—an organism which grows with every advance in the power of the rivals.

戦時になると、兵士は報酬が増え、より栄光に包まれ、昇進の望みが高まる。これらの利点は、耐え忍ばなければならない危険を補って余りある。
In time of war the soldier obtains an additional remuneration, more glory, and an increased hope of professional advancement, and these advantages more than compensate the risks which he is compelled to undergo.

戦争状態は支配層全体にとっても、軍隊を管理し指揮する政府職員にとっても、利益をもたらすのである。
In this way a State of War continues to be profitable both to the governing class as a whole, and to those officials who administer and officer the army.

原文:http://oll.libertyfund.org/quotes/384

2016-03-27

錬金術は不可能

# 中央銀行総裁をマエストロ(巨匠)と讃えた本もありました。科学が教えるところによれば、錬金術は不可能です。
--錬金術師から“薬剤師”へ 神通力が落ちた世界の中央銀行
http://diamond.jp/articles/-/88315

# 一歩間違えば人生を台無しにするような買い物を、国家が奨励する異常。借家が主流、買うなら現金だった戦前に回帰を。
--マイナス金利で住宅ローン10年固定は1%割れ!失敗しないための5つのポイント
http://diamond.jp/articles/-/88272

# 目新しい仕組みの名前だけ借りて、補助金にむらがる癒着企業と政治家・官僚。地方を衰えさせる日本の伝統芸。
--なぜ「海外事例の輸入」はうまくいかないのか | 地方創生のリアル
http://toyokeizai.net/articles/-/110759

# 周辺には住宅や飲食店、公園、結婚式場などができ、中学・高校も移転新築。ショッピングモールが生み出す、活力あるコンパクトシティー。
--ゆめタウン、佐賀「最大旗艦店」に託す新構想
http://toyokeizai.net/articles/-/110888

# 常連の顔を見た瞬間に注文を予想し、麺をゆで始めるとはすごい。高付加価値とは、高い値段のことではありません。
--「早い・旨い・安い」を地で行く日暮里の立ち食いそば屋は、ファンを“信者”にする!
http://diamond.jp/articles/-/88434

2016-03-26

偽物の保守

# 保守を標榜する政権が、青年の勤勉・倹約精神をくじく消費奨励。今の保守なんて所詮偽物。
--若年の低所得者層に商品券 政府が新たな消費刺激策 28年度補正予算案の目玉
http://www.sankei.com/economy/news/160324/ecn1603240002-n1.html

# 増税中止・減税は良い政策。公共事業は税金でやるから悪い政策。追加緩和はインフレ税だから悪い政策。
--増税スキップ・景気対策・追加緩和で日本経済は盤石になる
http://diamond.jp/articles/-/88382

# 企業預金引き出しが相次げば、銀行の資金繰りに悪影響も。安心安全とは正反対な異次元政策。
--企業預金、マイナス金利適用なら自社金庫や外債運用も
http://jp.reuters.com/article/angle-negative-rate-idJPKCN0WP2XM

# 政治的に正しい代替エネルギーには、補助金という蜜の匂い。たしかに有望かも。真の起業家だった初代石油王は、天国で何思う。
--ロックフェラー家基金が化石燃料への投資中止、石油株の保有解消
http://jp.reuters.com/article/rockefeller-divest-fossil-fuels-idJPKCN0WP2UP

# 住民がもし敗訴したら、税金で助けてもらえるのでしょうか。
--【高浜原発3・4号機】運転停止で関電社長「住民に損害賠償請求も」 弁護団は「完全な脅迫」
http://www.huffingtonpost.jp/2016/03/22/kanden-primary-cancer_n_9526506.html

2016-03-25

あとは野となれ

# 教授、そのすばらしい提言にぴったりな日本の言葉があります。「あとは野となれ山となれ」。
--「世界経済は弱さ蔓延、各国政府は収支気にせず財政出動を」クルーグマン教授
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/03/post-4744.php

# もはや手遅れか。アジアに近く市街地まで地下鉄5分の福岡空港をハブにしては。
--世界の空港を訪れて悟る、成田の「出遅れ感」
http://toyokeizai.net/articles/-/109963

# 善行をしたければ黙って寄付すれば済むこと。節税アドバイザーを雇う余裕のない中間層は、巻き添えにされていい迷惑。
--富裕層40人が知事あてに税率アップ署名
http://media.yucasee.jp/posts/index/14947

# 会見でオバマ大統領が親しく肩を抱くのを許さなかったカストロ弟。無理もない過去のいきさつ。
--キューバへの軍事侵略を計画しただけでなく、フィデル・カストロの暗殺を何度も試みた米支配層
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201603220000/

# さまざまな税を払ってようやく残った財産に、死を理由にまた課税。どんなホラー映画より怖い、どこまでも追いかけて来る政府という怪物。
--マイケル・ジャクソンの子供たち、巨額遺産を相続できない可能性も。
http://www.narinari.com/Nd/20160336771.html

2016-03-24

政府にテロ対策を任せても

# 経済学者ミーゼスいわく、すさまじい革命を起こしたければ、大衆の貯蓄を破壊する以上の手段はない。革命はすでに着々と実行されているのです。政府自身のインフレ政策によって。
--共産党の「暴力革命」不変 「破防法の対象」と政府答弁書
http://www.sankei.com/smp/politics/news/160322/plt1603220030-s.html

# 問題。政府にテロ対策を任せてもテロがなくならない場合、正しい選択はどちらか。⑴別の方法を考える。⑵政府の対策を強化し続ける。
--ブリュッセルの空港などで同時爆発、多数の死傷者
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/03/post-4738.php

# 問題。京都で文化が栄えた千年以上、京都に文化を保護する官庁はなかった。今後文化が栄えるにはどうしたらよいか。⑴文化を保護する官庁を誘致する。⑵誘致しない。
--文化庁移転の舞台裏
http://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/2016_0322.html

# 企業が短期志向を強めてけしからん? 3カ月先の金利もわからない世界で、長期の戦略を立てるなんて無理でしょう。
--先進国の民間投資回復には何が必要なのか
http://toyokeizai.net/articles/-/109351

# 金投資なんてダサい? 少なくともかつてハイパーインフレを経験した国は、そう思っていないようです。
--ドイツ、金準備の国外からの返還を加速
http://jp.sputniknews.com/us/20160320/1814364.html

2016-03-23

藤木久志『戦国の作法』


村という権力

本書を手に取った動機は、中世日本における庶民の自衛について知りたかったからである。黒澤明の映画『七人の侍』で描かれた、ひ弱な百姓たちの姿とは違い、中世の村は日常的に自前の武力を持ち、自立した武装の態勢をとっていた。期待どおり、本書ではその方面の知識を得ることができた。

しかし一番衝撃を受けた記述は、他にある。和解の手段として差し出される、身代わりにまつわる事実である。村はふだんから、いざというとき犠牲になりうる人間を養っていた。多くは浪人である。身代わりになるかどうかは明確な約束に基づいていたわけではないようで、本書には、老父が無理やり身代わりにされ処刑されたと村を告発する息子の話が出てくる。

村の上層部は老父に対し、「処刑を決めたのは領主で、思いとどまるよう取りなしたがダメだった。不運だと諦めてくれ」と見苦しく言い訳したうえ、「子孫まで末代」補償するとしていた証文を、いつの間にか「三人」(三代の意味か)に改竄していたという。

ここに見られるのは、現代と変わらぬ権力の本性である。権力者は祖国や共同体を守るためと称して、他人に生命・財産を差し出すよう求める。それが本人の意思に基づくものならよい。しかし強制は人間の尊厳を踏みにじるものである。

中世の村の自衛は、国家が防衛を独占した現代にとって貴重な示唆を与える。だが同時にそこには、現代国家と同じ血の匂いが立ち込めている。

<抜粋とコメント>
"中世の村は…村のために犠牲となるような存在を、それも正規の村落構成員の家(私的隷属)の外側に、日常的に村として扶養しておく態勢をとっていた。"
# 「ものぐさ太郎」のモデルは、このように養われた人とか。

"イザというとき、浪人たちが身代わりとなるのは、世話になった町の共同体に報いる、自発的な献身どころか、町のふだんの扶養と引き換えの、逃れられぬ運命"
# いくら養ってもらった恩があるとはいえ、見返りに命を取られてはたまらない。

"身代わりの犠牲の一人や二人出してでも、山のナワバリを武力で勝ち取るのが村のため…「牢人にて、親類もなき者」を犠牲にしたのは、紛れもなく村の共同謀議の結果"
# 村の侵掠戦争の罪を負わされ、身代わりに処刑された無実の戦犯。

"解死人として成敗(下手人として処刑)する、と決定したのは公方(領主)で、村では「その方のがれ候ように、(領主に)様ざまおことわり」したがだめだった、「不運だ」と諦めてくれ"
# 身代わりで処刑される浪人に、村は無責任な言いわけ。

"初め補償の約束に「子孫まで末代」にわたってと明記されていたのに、いつの間にか「末代」の文字が「三人」(三代の意味か)と改竄されている"
# 自分たちの身代わりで死ぬ浪人との約束を破り、補償を減らす村。

アマゾンレビューにも投稿。

2016-03-22

『ミーゼス、貨幣とインフレーションを語る』


最悪の革命

ベッティーナ・ビエン・グリーヴス編『ミーゼス、貨幣とインフレーションを語る』(Ludwig von Mises on Money and Inflation)より。経済学者ルートヴィヒ・フォン・ミーゼスが1960年代に行った講義をまとめ、2010年に刊行。

昔から権力者の懐が寂しくなると、必ず頼る手段がある。カネづくりである。金貨ならば、金の含有量を減らす。金を裏付けとする兌換紙幣ならば、裏付けになる金を減らす。何の裏付けもない不換紙幣ならば、何はばかることなく刷りまくる。「豊かな社会にする」「安心できる社会にする」という大義名分を掲げて。

しかし社会を物質的に豊かにするのは、カネではない。衣食住をはじめとする物である。カネの量を増やしても、物の量を増やさなければ、物の値段が上がるだけである。これでは社会は豊かにならない。

そればかりではない。政府の操作で物価が上がる(カネの価値が下がる)と、人々が蓄えた貯蓄の価値が損なわれる。安心できる社会になるどころか、人々を不安に追いやる。勤勉・倹約の精神が破壊される。ミーゼスはこれを「すさまじい革命」と呼ぶ。最悪の革命はテロリストや過激派によって起こされるのではない。政府のインフレ政策によって日々推し進められているのである。

<抜粋>
お金の量を増やすと、増やした集団、人々、社会、王、皇帝は、とりあえずその場をしのぐことができる。
"The first rule, or the only rule which we have to teach to everybody in explaining the problems of money is that an increase in the quantity of money brings about for the group, for the people, for the society, for the king, for the emperor who does it, a temporary improvement of the situation."

お金の量を増やしても、お金で買える物の量を増やさなければ、物の値段が上がるだけである。
"And if you are increasing the quantity of money, and you are not increasing the quantity of things which can be bought with money, you are only increasing the prices which are paid for them."

税収が足りないけれど国民が嫌がるので増税はしたくない。そんなとき、多くの政府はこう言う。「紙幣を少し増やしましょう。たくさんではありません。ほんの少しですよ」
"Unfortunately we are living in a period in which many governments say, if we don’t have enough money for something and if we don’t want to tax people because the people don’t want to pay taxes for this purpose, then let us add a little bit, a little bit of paper money, not very much, just a little bit, you know."

通貨量の増大は、あらゆる段階で規制しなければならない。
"We have to realize that the increase in the quantity of money, the increase of those things which have the power to be used for monetary purposes, must be restricted at every point."

すさまじい革命を起こしたければ、大衆が預金や生命保険などの形で保有する貯蓄を破壊する以上に、よい手段はない。
"There is no better way to bring about a tremendous revolution than to destroy the savings of the masses which are invested in savings deposits, insurance policies, and so on."

通貨の破局は、通貨制度の完全な崩壊であるとは限らない。
"If you talk about a catastrophe of the money, you need not always have in mind a total breakdown of the currency system."

大幅なインフレと小幅なインフレの違いを誇張してはならない。小幅なインフレは、大幅なインフレと同じく、悪い影響をもたらす。
"But one should not exaggerate the difference in the effects brought about by the greater inflations as against the smaller inflations. The effects of the “smaller inflations” are also bad."

お金は市場経済において最も重要な要素である。お金を生み出したのは市場経済であり、政府ではない。
"Money is the most important factor in a market economy. Money was created by the market economy, not by the government."

政府がお金を破壊すれば、市場経済のきわめて重要な要素を破壊するだけでなく、人々が投資やもしもの備えとして蓄えた貯蓄を破壊する。つまり市場経済そのものを破壊することになる。
"If the government destroys the money, it not only destroys something of extreme importance for the system, the savings people have set aside to invest and to take care of themselves in some emergency; it also destroys the very system itself."

原著:Ludwig von Mises on Money and Inflation.

2016-03-21

許される核兵器

# 脱税指南の税理士を断罪。でも本気で取り締まったら、国税OBの税理士をわざわざ顧問に雇う企業は激減するでしょうね。
--国税局贈収賄、元税理士に懲役6年…大阪地裁
http://www.yomiuri.co.jp/osaka/news/20160318-OYO1T50015.html

# 一般市民に危害を及ぼさない核兵器なら、使っても国際法上問題ないでしょう。そんな核兵器があるならばですが。
--法制局長官、核使用「憲法ですべては禁止されていない」
http://www.asahi.com/articles/ASJ3L6229J3LUTFK016.html

# すでに事実上破綻している社会保障。政府も政府を非難する側も、その事実に目をふさいでいます。
--「日本死ね」と言われても「日本はもう死んでいる」のではなかろうか(宇佐美典也のブログ)
http://usami-noriya.blog.jp/archives/4728873.html

# もし中国の投資家の手に渡ったら? 「心配無用。ダムを解体して中国に再建することはできない」と下院委員長。ごもっとも。
--「欧州の給水塔」と呼ばれるスイスのダム、電力会社の経営難で売却か?
http://www.swissinfo.ch/jpn/%E3%82%B9%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%81%AE%E6%B0%B4%E5%8A%9B%E7%99%BA%E9%9B%BB%E6%89%80_-%E6%AC%A7%E5%B7%9E%E3%81%AE%E7%B5%A6%E6%B0%B4%E5%A1%94-%E3%81%A8%E5%91%BC%E3%81%B0%E3%82%8C%E3%82%8B%E3%82%B9%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%81%AE%E3%83%80%E3%83%A0-%E9%9B%BB%E5%8A%9B%E4%BC%9A%E7%A4%BE%E3%81%AE%E7%B5%8C%E5%96%B6%E9%9B%A3%E3%81%A7%E5%A3%B2%E5%8D%B4%E3%81%8B-/42031668

# 安全対策強化で買替需要が増大。でも規制特需だけではメーカーは本格増産に踏み切れず、価格は上昇。コスト増は結局利用者へ。
--規制強化に揺れるバス、受注増で抱える悩み
http://toyokeizai.net/articles/-/109145

2016-03-20

輪島裕介『創られた「日本の心」神話』



「演歌は日本の伝統」のウソ

自民、民主、公明など超党派の有志議員が、演歌や歌謡曲を支援する議員連盟を結成したという。産経新聞が「日本の伝統文化の演歌を絶やすな! 超党派『演歌議連』発足へ」という見出しで報じた

しかし、伝統が「ある集団・社会において、歴史的に形成・蓄積され、世代をこえて受け継がれた精神的・文化的遺産や慣習」(大辞林)だとすれば、演歌を日本の伝統文化と呼ぶのは正しくない。本書はその事実を詳しい調査に基づき明らかにする。

たしかに、演歌という言葉そのものは、明治時代に生まれた古いものである。しかし本書によれば、本来の演歌とは自由民権運動の流れをくむ「歌による演説」であり、社会批判と風刺を旨とする「語り芸」だった。現在のように、演歌という言葉を「日本的」「伝統的」なレコード歌謡を指すために用いるようになったのは、昭和40年代(1960年代半ば)以降にすぎないという。

また本書によれば、演歌は「日本的」な要素のみで成り立っているものではない。森進一のしわがれ声はジャズの大御所ルイ・アームストロングを意識したものだし、都はるみの「唸り節」は驚くことに、ポップスの女王と呼ばれた弘田三枝子の歌唱法に由来するという。

もちろん、だから演歌はダメだと言いたいわけではない。考えるに、重要なのは、ある文化を守るという大義名分のために、誤った事実に基づく権威づけをしないことである。それは守ろうとしている文化そのものに対する誤解を広めることになる。

もう一つ大切なのは、日本文化を守るという名目で、外国文化の流入を妨げないことである。日本文化は私たちが想像する以上に、さまざまな外国文化を取り入れて豊かに実っている。偏狭なナショナリズムにとらわれて外国文化を排除すれば、日本文化はやがてやせ衰えてしまうだろう。

本書は、そうした示唆を与えてくれる好著である。

<抜粋とコメント>
"「演歌」という言葉を現在のように「日本的」または「伝統的」なレコード歌謡を指示するために用いるようになったのは、昭和四〇年代以降"
# 演歌は日本の心、日本の伝統という神話。

"《柔》と《悲しい酒》の二曲は古賀(政男〕と〔美空〕ひばりの「演歌」イメージを決定付け…彼らのモダンで明るい側面が見えにくくなってしまった"
# ひばりの初期ヒット曲《東京キッド》などには、ジャズやラテンの感覚が濃厚。

"「演歌」の歌唱法の一つの頂点ともいえる都はるみの極端な「唸り節」が、戦後のアメリカ音楽受容のひとつの到達点と〔いわれる〕弘田三枝子の歌唱技法に由来していることは、きわめて驚くべき事実"
# 「日本の心」はアメリカ文化が生んだ。

"青江〔三奈〕の歌唱スタイルや容貌は…ジャズ・シンガーのヘレン・メリルを思わせ…森進一のしわがれ声は…サッチモ(ルイ・アームストロング)を意識したもの"(『創られた「日本の心」神話』)
# アフリカから米国へ、米国から日本へ。

"藤圭子の〔1969年の〕デビュー時に喧伝された「不幸な生い立ち」や「暗さ」「怨念」のイメージは、〔「演歌」の発明者である作家〕五木〔寛之〕が…小説で描いた「少女歌手」のそれときわめて親和的"
# 偶像を演じ切った元祖アイドル。

アマゾンレビューにも投稿。

2016-03-19

結局は増税

# 民間企業が運営する施設なら、とっくに本社を報道陣が取り囲み、社長が謝罪会見しているころ。官製道路でそんなことはありません。
--山陽道トンネルで車12台絡む多重事故 2人死亡 広島
http://www.asahi.com/articles/ASJ3K32S6J3KPTIL008.html

# 消費増税を一時延期する代わりに、相続税や炭素税を強化せよという話。それなら結局将来は増税。
--スティグリッツ氏の消費増税反対発言 再見送りの「援軍」にも
http://www.sankei.com/smp/politics/news/160316/plt1603160030-s.html

# それくらい気にするな、と総理から励ましの言葉をかけてもらえないでしょうか。
--ショーン川上氏、文春の指摘で学歴詐称を謝罪 出演6番組に降板申し入れ
http://www.huffingtonpost.jp/2016/03/15/sean-k_n_9473756.html

# 抗議はした。でもできるのはそれくらい。安全保障の代償として大きいか小さいか。
--占領されレイプされる沖縄
http://jp.sputniknews.com/opinion/20160316/1789767.html

# 国家予算の3分の2の規模。新旧政権が汚職の罪をなすり合う展開に。どっちもクロの可能性もあるとか。壮大でセコい話。
--ナイジェリア政府がナイジェリア詐欺の被害、160億ドル(1兆8000億円)の資金が行方不明
http://www.businessnewsline.com/news/201603160336530000.html

# 利息が付かないからダメといわれてきた金。預金金利が手数料込みで実質マイナスになりかねないとなれば、話は別。
--「金利を生まない」金が今注目を集める理由
https://zuuonline.com/archives/100569

# 『西部戦線異状なし』→反戦だからダメ。『動物農場』→反共だからダメ。『好色一代男』→風紀を乱すからダメ。名作の苦難の歴史。
--「禁書」の真実をどれだけ知っていますか
http://toyokeizai.net/articles/-/109325

2016-03-18

『俳句エコノミスト』


本当の階級闘争とは

経済学者、ジム・コックス(JIm Cox)による2015年の著書『俳句エコノミスト』(The Haiku Economist: 101 Poems Economic Principles, economically expressed)より。オーストリア学派経済学の知見を合計101の英語俳句(季語がないので正しくは川柳?)に仕立てた楽しい本。下記の抜粋のほか、「本当の階級闘争とは、税を払う者対使う者。マルクスは間違った」「ドルと違い、政府は金(きん)を印刷できない。それが金の大きな長所」などというのもある。

<抜粋>
心配無用、政府は破綻しない。その前に増税で国民を破綻させるから。
Don’t you worry; your government won’t go bankrupt. They’ll tax you broke, first.

「大きすぎて潰せない」。本当の意味は「癒着しすぎて潰せない」
“Too big to fail” means actually, in fact, too connected to fail.

生産は世の物不足を和らげる。慈善よりも大きな効果。
Production does more to alleviate world needs than does charity.

増税で財政再建できるなら、とっくの昔にできているはず。
If raising taxes cured deficits, it would have happened long ago.

その昔、財産づくりは金貨銀貨を貯めるだけ。今では投資にあれこれ悩む。
Old days, save a gold or silver coin. No more. Now guess where to invest.

原著:The Haiku Economist: 101 Poems Economic Principles, economically expressed.

2016-03-17

機械は人間を不幸にする?

# 合法白タクは事故率がタクシーより小さく、強盗被害も少ないという事実。規制緩和が安全を脅かすという神話。
--ウーバーをめぐる神話と事実
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO98318020R10C16A3000000/

# 送金額が大きすぎる、送金先の名前のスペルも違っていると不審に感じ、途中で阻止した民間銀行。何も気づかなかった米連銀。監督する側とされる側、交代したほうがいいかも。
--バングラ中銀「史上最大の銀行強盗」の内幕
http://toyokeizai.net/articles/-/109458

# 真の標的はジャーナリストや法律家、大学教授ら。「自由を守る戦い」の実像。
--スノーデン氏、米国の追跡プログラム、この10年間で発見されたテロリストはゼロ
http://jp.sputniknews.com/us/20160315/1781017.html

# 行政支援なんかいらないから好き放題しゃべる!って番組なら聴いてみたい。
--「おかまに行政支援は不要」市議が発言撤回 新潟・三条
http://www.asahi.com/articles/ASJ3G4RK7J3GUOHB00N.html

# 機械は人間を不幸にする? そうでもなさそう。機械が人間に勇気を与える物語。
--つんく♂、『徹子の部屋』史上初のPC筆談トーク「人生やりがいがあるな」
http://news.mynavi.jp/news/2016/03/14/139/

2016-03-16

全員平等に失業者

# 正社員は福利厚生や退職金があるから、同一にするには非正社員をすべて正社員にするしかありません。すると企業は破綻し、全員が失業者になります。平等という目的は達成できます。
--「同一労働同一賃金」という批判しづらい正論に企業は戦々恐々
http://diamond.jp/articles/-/87818

# メルケル首相や賛成派が自宅に難民を受け入れるというなら、誰も文句は言わないでしょう。人が自分の判断で他人に使用を許すことができるのは、自分の財産だけです。
--「ドイツ州議会選、反難民政党が大躍進」
http://news.tbs.co.jp/sp/newseye/tbs_newseye2725236.html

# 南部にドンパチをしかけて女性や子供まで殺傷し、アメリカから離脱を許さなかったリンカーンは、偉人扱いされています。
--山口組分裂:離脱をけん制? 富山の組事務所で発砲音3回
http://mainichi.jp/articles/20160314/k00/00e/040/153000c

# 子供に恵まれない人や結婚しない人も、里親になれる。子育ては女性だけの仕事ではない。子育ての後、勉強を再開しなさい――。これで叩くのはちと気の毒かも。
--「2人出産が仕事より価値」発言全文
http://www.itmedia.co.jp/news/spv/1603/14/news070.html

# メディアが非難するのは暴力的な抗議活動を実行した団体ではなく、その対象になったトランプ候補。標的が主流派候補なら、たちまちテロリストのレッテルを貼られるところ。
--トランプ批判の嵐
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201603130000/

# 医師の指導のもと10年間服用してきた薬がなぜ突然、禁止物質と宣言されたのか。陰謀かどうかはともかく、外交上の反ロシア・キャンペーンに好都合なのは事実。
--スポーツの政治化
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2016/03/post-d34d.html

2016-03-15

強硬策は愚策

# 祭祀財産なのでありがたいことに非課税の可能性あり。政府に身ぐるみはがされかねない末法に、すがれるのは仏様。
--純金の仏像・仏具が人気 富裕層が相続税対策で注目
http://getnews.jp/archives/1427354

# 身銭を切らない投票よりも、たしかな民意。
--名護市、ふるさと納税12倍 反基地支援、県4400万円
http://ryukyushimpo.jp/news/entry-236017.html

# 北朝鮮の崩壊は韓国経済の共倒れを招く公算。日本にとっても韓国への投資、融資が不良債権化し、巨額の復興援助を求められかねない。威勢のいい強硬策は愚策ということ。
--北朝鮮崩壊で一番困る中国と韓国は制裁に本気になれない
http://diamond.jp/articles/-/87630

# 共生と書いてなれあいと読む。そんな業界の常識に染まらない素人だからできた、世界を変える仕事。
--ジェフ・ベゾスは業界を敵に回しても顧客第一を貫いた
http://diamond.jp/articles/-/87584

# 経済の活性化は、高生産性の部門が新しく登場し、そこが雇用を増加させるしかない。つまり政府の介入による短期での実現は無理。身も蓋もない正論。
--政府が春闘に介入しても賃金は増えず経済は活性化しない
http://diamond.jp/articles/-/87665

2016-03-14

坂井豊貴『多数決を疑う』



民主主義のもろい土台

選挙に大差で勝った政党の幹部は、「民意が反映された」と誇らしげに語る。しかし多数決に基づく選挙結果と民意とは、同じものなのだろうか。そうではないと著者は指摘する。有権者はどの候補者を一番に支持するかしか表明できず、二番や三番への意思表明はできない。だから当選結果が民意の分布を反映しているとは限らない。それどころか、集約のルールによって選挙結果は変わるから、そもそも民意などというものは存在しないとすら言える。

著者は、民主主義そのものを疑うところまでは踏み込まない。それでも本書は、多数決という民主主義の土台が予想外にもろいことを明らかにすることによって、民主主義に幻想を抱かず、冷静に評価するヒントを与えてくれる。

<抜粋とコメント>
"多数決のもとで有権者は、自分の判断のうちごく一部に過ぎない「どの候補者を一番に支持するか」しか表明できない。二番や三番への意思表明は一切できないわけだ。"
# 当選者が広い有権者層の支持を受けたとは限らない。

"どの集約ルールを使うかで結果がすべて変わるわけだ。「民意」という言葉はよく使われるが…結局のところ存在するのは民意というより集約ルールが与えた結果にほかならない。"
# 選挙結果が「民意の反映」というウソ。

"多数決をめぐる最大の倫理的課題は、なぜ少数派が多数派の意見に従わねばならないのか、というものだ。"
# 従う倫理的義務はありません。従わないと面倒なことになるから従うだけ。

"小選挙区制のもとでは、半数にも満たない有権者が、衆参両院に三分の二以上の議員を送り込むことさえできる。つまり〔憲法〕第九六条は見かけより遥かに弱く、より改憲しにくくなるよう改憲すべきなのだ。"
# 改憲しにくいという神話。

"「主権者である国民が国会議員を選出し、国会が立法し、行政機関はそれを執行する」という形式があるゆえ、現行制度は国民に由来する正統性を持ち「民主的」である、という理屈がまかり通る。"
# 現実には行政機関に広い裁量。暴走の危険。

アマゾンレビューにも投稿。

2016-03-13

復興支援が復興を妨げる

<解説>
米大統領、グロバー・クリーブランドが1887年、連邦議会下院で行った演説「テキサス種子法案の拒否」(Veto of the Texas Seed Bill)より。議会は旱魃被害を受けた西部の農民に穀物の種を支給する法案を上程したが、クリーブランドはこれに拒否権を行使する。クリーブランドは演説で、政府の権限は限定しなければならないと強調し、もし政府が救済に乗り出せば、国民の自発的な慈善活動を妨げ、同胞としての絆を弱めてしまうと警告した。古典的な自由主義哲学に忠実な判断である。

クリーブランドは民主党の出身。「民主党は大きな政府を主張し、共和党は小さな政府を信奉する」という俗説が誤りであることは、このことだけでもわかる。

東日本大震災から5年。日本政府は復興支援の名目で、穀物の種など比べ物にならないほど巨額の予算を投じてきた。だが建築業者など一部の人々を潤しはしたものの、復興は遅々として進まないばかりか、予算の一部は復興と無関係な事業に無駄遣いされたことが明らかになっている。その一方で政府は、日本人としての絆を大切にせよと矛盾したことを叫んできた。メディアには絆を強調するお涙頂戴のエピソードがあふれる。

5年の節目を機に、政府はさらに復興支援に力を入れると張り切っている。それは市場経済の活力を奪い、本当の復興を遅らせるばかりだろう。災害に見舞われることは不幸である。しかし、他人の金で善人面をしたがる政府の下で災害後の日々を送ることは、それ以上に不幸である。

<抜粋>
私はこの法案〔旱魃に見舞われたテキサスに特別支出金で穀物種子を支給する「テキサス種子法案」〕への支持を差し控えざるをえない。この法案は、博愛心・慈善心を満足させるために公金を使おうとしている。
And yet I feel obliged to withhold my approval of the plan as proposed by this bill, to indulge a benevolent and charitable sentiment through the appropriation of public funds for that purpose.

そのような〔個別の災害に対する〕支出は合衆国憲法で認められていないし、国民全体の利益にかかわらない個別災害の救済にまで、連邦政府の権限や義務が及ぶとは考えられない。
I can find no warrant for such an appropriation in the Constitution, and I do not believe that the power and duty of the general government ought to be extended to the relief of individual suffering which is in no manner properly related to the public service or benefit.

政府の権限と義務に対する制限を無視する傾向が広がっているが、これには断乎抵抗しなければならない。……国民が政府を支えるのであって、政府が国民を支えてはならない。
A prevalent tendency to disregard the limited mission of this power and duty should, I think, be steadfastly resisted, to the end that the lesson should be constantly enforced that, though the people support the government, the government should not support the people.

個別の災害まで連邦政府が救済すれば、人々が政府の温情を期待するようになり、米国民のたくましい気質を弱めてしまうだろう。また、国民の間に思いやりの気持ちや行動が広がるのを妨げてしまうだろう。そうした気持ちや行動こそが、同胞としての絆を強めるのに。
Federal aid in such cases encourages the expectation of paternal care on the part of the government and weakens the sturdiness of our national character, while it prevents the indulgence among our people of that kindly sentiment and conduct which strengthens the bonds of a common brotherhood.

原文:https://mises.org/library/veto-texas-seed-bill

2016-03-12

自殺はなぜ公立中学で起こるのか

# 悪い評判が立つと生徒が集まらず、教職員の減給・解雇にもつながる私立と違い、学校を良くするインセンティブが働かないから。100の精神論より、本質を衝く4年前の文章を。
--いじめ自殺はなぜ公立中学で起こるのか? | 橘玲 公式サイト
http://www.tachibana-akira.com/2012/07/4585

# ブラックな業界はけしからんと叩く自称人道主義者が、かえって働く人たちを不幸にします。
--AV業界批判の人権団体に、AV女優たちが猛反論!「職業差別を助長。出たい人が出てる」
http://biz-journal.jp/2016/03/post_14188.html

# ほう、そんな裏技があったか。それならもっと使っても大丈夫だな。
--マイナス金利を生かして国の財政を改善する方法
http://diamond.jp/articles/-/87666

# 各国は需要刺激策を採れと号令。そういう政策こそ、現在の危機をもたらしたそもそもの原因ではないでしょうか。
--IMFが警告、世界経済の破綻間近
http://jp.sputniknews.com/politics/20160310/1752930.html

# スペイン無敵艦隊は、日頃商船として使用する船舶を、戦時にだけ軍艦として利用。ところが増税で海運業が衰えた結果、海軍力も衰退。増税の害悪は政府自身にはね返る。
--日本はスペイン無敵艦隊の「二の舞」になる
http://toyokeizai.net/articles/-/106940

2016-03-11

規制を緩和する権限

# 「規制する権限」ではなく、「規制を緩和する権限」を使って民間活力を引き出す、ときっぱり。政治家のやるべき仕事はそれしかありません。
--人が日本一集まる街・福岡の「タグ付け」戦法
http://toyokeizai.net/articles/-/106403

# 選挙の公約に、当選した場合の報酬を入れたらどうでしょうか。どんなサービスも値段は明示するのですから。年1454万円でもそれに値する人なら勝てる!
--名古屋市議会:「報酬増」条例案可決 市長、再議権行使へ
http://mainichi.jp/articles/20160309/k00/00m/010/161000c

# 大金持ちの災難は自分に関係ないと思う人は、小金持ちになったときに後悔することでしょう。
--米のタックスヘイブン潰し UBSシンガポールに口座情報要求
http://h2tax.net/taxnews/2016/03/1457404800.html

# 大企業中心に固定費比率が上がり、これ以上の賃上げが難しい状況になっていると指摘。
--「日本株式会社」減収減益が物語るアベノミクスへの不安
http://diamond.jp/articles/-/87582

# 「羽田は国内、成田は国際」と棲み分けさせる行政の方針が招いた、国際ハブ空港の立ち遅れ。ようやく花開き始めた起業家精神。せめてこれ以上邪魔しないで。
--「何でもやっていい」“放任主義”がLCCを育てた
http://diamond.jp/articles/-/87402

2016-03-10

マイナス金利は徴税行為

# マイナス金利は徴税行為で日銀にその権利はない。それによって課税される低所得者は下流老人や予備軍に転落。政府は責任逃れのためますます無理な政策に突き進む…。有益な指摘多数。
--日銀はマイナス金利で「敗戦」を糊塗している
http://toyokeizai.net/articles/-/108347

# 政治的理由で決められたため、滑走路が短く、広さが普天間の40%以下しかないなど軍事的に不合理と指摘。
--辺野古案堅持を掲げる読売社説への疑問
http://gohoo.org/16030801

# 国家間の抗争と違って、今のところ一般市民の巻き添えはないようです。
--【山口組分裂「抗争」】ねじれ現象の神戸「トップの指示なく組員暴走も」…パトカー登下校も厳戒、市民ら「怖い」
http://www.sankei.com/smp/west/news/160307/wst1603070086-s.html

# 日本人だけでなく外国人にも人気とか。背景には焼肉文化と関係が深いコリアンタウン、鶴橋の存在。儲かりまっか精神がもたらす、真の共生社会。
--空前の焼肉バブル!「大阪の肉」が人気のワケ
http://toyokeizai.net/articles/-/107701

# 功績でなく地位で決まるとか。もっとも、功績の大小を測る方法がありません。
--ナンセンスすぎる春秋の叙勲・勲章、呆れた内幕…受賞者の7割は公務員、功績無関係
http://biz-journal.jp/2016/03/post_14130.html

2016-03-09

非正規社員はかわいそうか

# マイナンバー、マイナス金利に不安募らせる資産家。取り越し苦労? 用心深くなければ金持ちにはなれないことをお忘れなく。
--タンス預金用の「金庫」が売れまくる異常事態
http://toyokeizai.net/articles/-/106974

# 政府が空き家対策を講じれば、じゃあもっと作っても大丈夫と企業は考え、供給過剰はいつまでも解消しません。
--空き家を公営住宅化し、子育て世帯や高齢者向けに活用へ 国交省方針
http://www.sankei.com/smp/politics/news/160307/plt1603070007-s.html

# 本当は正社員になりたい「不本意型」はわずか2割。非正規社員はかわいそうという紋切型の議論が労働者を不幸にします。
--「セカンドキャリア」という前向きな非正規雇用も実は多い
http://diamond.jp/articles/-/87400

# 金融機関の収益悪化もさることながら、表面的な好景気を演出するためにマネーを氾濫させ、自然な需給をゆがめることが最悪の副作用です。
--黒田総裁、マイナス金利「効果は極めて大きい」
http://sp.yomiuri.co.jp/economy/20160307-OYT1T50087.html

# 独禁法による莫大な罰金と長期の服役を懸念していたとか。出る杭が打たれることはどの国も同じなのかも。
--「シェールガスの父」が不可解な事故で急死、低迷が続く原油相場へ与える影響とは?
http://diamond.jp/articles/-/87507

2016-03-08

ハイパーインフレより怖いもの

経済学者、カーメン・エレナ・ドロバート(Carmen Elena Dorobăț)による2014年の記事「貧困への道は小さなインフレで舗装されている」(The Road to Poverty Is Paved with Small Inflations)より。

<解説>
物価が短期間で何倍にもなるハイパーインフレは、恐怖とともに語られる。対照的に、 緩やかな物価上昇であるマイルドインフレは、逆に望ましいものとされ、中央銀行の公式目標にまでなっている。しかし著者がいうとおり、大幅だろうと小幅だろうと、インフレがお金の価値を破壊し、自然な経済の働きを妨げて社会の貧困化を招くことに変わりはない。ハイパーインフレが誰の目にも明らかな突発性の重病であるのに対し、マイルドインフレはじわじわと社会を蝕む病であり、健康のあかしと誤解されてさえいる。その意味で、むしろハイパーインフレよりも怖いといえる。

<抜粋>
ベネズエラのマドゥロ政権が国民を貧困に追いやるやり方は、せっかちで誰が見てもわかる。しかし他国の政府はもっと辛抱強く、腹の中を隠している。
While Maduro’s regime is leading its people to poverty in a quick, conspicuous manner, other governments are more willing to wait and conceal their intentions.

穏やかな物価上昇は過去数十年、西洋諸国でくすぶり続ける。西洋諸国では、中央銀行が年率2%の物価上昇を保つことを公式目標としてみずからに課している。これは30年間で物価が2倍になることを意味する。
Moderate price inflation has been simmering for decades in Western economies, where central banks make it their official mission to keep prices increasing at an annual rate of 2%—which means doubling them over the course of 30 years.

大幅だろうと小幅だろうと、通貨量の膨張(インフレーション)は大衆を苦しめ、貯蓄の破壊をもたらし、失業と社会全体の貧困をまねく。一方で、金融ピラミッドの上位という地位に恵まれた一握りのエリートに富が集中する。
Great or small, inflation hurts the masses, leading to the destruction of savings, as well as unemployment and overall impoverishment, while concentrating wealth in the hands of elites privileged by their position in the monetary hierarchy.

もし通貨膨張をやめなければ、遅かれ早かれ金融システムは崩壊し、社会における分業を破壊するだろう。
If inflation doesn’t stop, the breakdown of the monetary system—whether fast or slow—will also bring about the destruction of the social division of labor.

ベネズエラのようなハイパーインフレと、西洋諸国におけるマイルドインフレは、国民を貧しくするのが早いか遅いかの違いにすぎない。
From this point of view, the difference between inflation ‘over here’ and inflation ‘over there’ is only a matter of how quickly we become poor.

原文:https://mises.org/blog/road-poverty-paved-small-inflations

2016-03-07

徳富蘇峰『将来の日本』


若きリバタリアン蘇峰

明治から昭和にかけて活躍したジャーナリスト、徳富蘇峰は国家主義の鼓吹者として悪名高いが、青年時代は徹底した自由主義者(リバタリアン)だった。『将来の日本』は、論壇で注目され郷里熊本から上京するきっかけとなった出世作。

アダム・スミス、リチャード・コブデン、ジョン・ブライト、ハーバート・スペンサーらの自由主義思想を自家薬籠中の物とし、軍事力に物を言わせる「武備主義」から平和な市場経済を基盤とする「生産主義」への転換を理路整然と説いた本書を上梓したとき、まだ23歳だったというから驚く。

日清戦争後の三国干渉をきっかけに、蘇峰は強硬な国家主義者へと転じていった。それでも、『将来の日本』の価値は減じない。国際情勢の不安定化をもたらす軍事的覇権主義や、市場経済を窒息させ財政危機を招く福祉国家の誤りが内外で明らかになりつつある今こそ、読まれるべき書といえる。

<抜粋とコメント>
"かの常備軍はもとより防御の精神より設けたるものなりといえども、敵を防ぐの刀剣は一転して敵を攻むるの刀剣たるがごとく、また一変して攻略の精神となすを得るものなり。"
# 防衛を目的とした軍も、たやすく侵略に転用されうる。

"英国…をして海上の王たらしむるゆえんのものは海軍あるがためにあらず。商船あるがためなり。"
# 覇権国の力の源泉は軍備でなく経済。経済が衰えれば軍備は保てない。

"それ貿易の主義は平和の主義なり。しからばすなわち富のますます進歩するに従い平和主義のいよいよ進歩するはあにまたうべならずや。"
# 貿易は国境を超えた協力関係を築く。それを壊し国際対立を深めるのは政治。

"かの武備の社会なるものは必ずその武士をしてその主人をして驕奢に導くものなり。文弱に導くものなり。なんとなれば彼らは自家の労力によりて生活するものにあらざればなり。"
# 武士も人の子、税という他人の金を大切にはしない。

"それいかに国権を拡張し、外国を侵掠したりとて一己人民の権利をば蹂躙し去らば国家の目的いずくにある。"
# 政府の建前は「国家は個人を守るために存在する」。本音は「国家を守るために個人は存在する」。

アマゾンレビューにも投稿。 

2016-03-06

戦争が生んだ統計

# 現金は野暮ったいけど捕捉しにくい。仮想通貨はスマートだけど捕捉が容易。政府はもちろん後者が好き。
--ビットコインなど仮想通貨規制の法改正案を閣議決定
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160304/k10010430991000.html

# もともと戦争遂行の道具として考案された統計。開発の功労者クズネッツ自身、「人々の豊かさが向上するかどうかは考慮されていない」と批判した代物。
--GDP統計を使った怪しい議論に要注意
http://toyokeizai.net/articles/-/107782

# 背筋の凍る真昼の暗黒。黙秘権の告知もない。泣き寝入りすることを前提に粗雑な審理。
--刑事事件以上に「冤罪」を生みやすい「課徴金制度」 ようやく一石を投じる判決
http://biz-journal.jp/2016/03/post_14041.html

# 前回の東京五輪景気もこんな感じの好景気だったみたい。宴の後は昭和40年証券不況。
--ゼネコンが空前の好決算ラッシュに沸く理由
http://toyokeizai.net/articles/-/106951

# 禁酒法がかえって犯罪を増やした教訓。もちろん嫌な人は使用しなければよいのです。
--いっそのこと覚醒剤やヘロインを合法化した方がいい[橘玲の日々刻々]
http://diamond.jp/articles/-/87139

2016-03-05

「演歌は日本の伝統」の誤り

# ある財が稀少であることは、使用法を公的に規制しなければならないことを必ずしも意味しない。経済学的に完全に正しい指摘。憲法の先生方とは思えません(失礼!)。
--高市早苗総務相が言及した「停波」は憲法違反 憲法学者ら見解表明(全文)
http://www.huffingtonpost.jp/2016/03/02/takaichi_n_9369974.html

# 福祉は政府の仕事と信じる皆さん、まだ任せ続けますか。
--子供の貧困対策の基金、広報2億円→寄付1949万円 蓮舫氏「2億円を基金に入れれば」
http://www.huffingtonpost.jp/2016/03/02/renho_n_9370042.html

# 消費刺激を狙ったはずが、将来の生活不安から安全資産への逃避をまねく皮肉。
--マイナス金利で「金価格」が逆行高するワケ
http://toyokeizai.net/articles/-/106971

# 演歌の歴史はたかだか40年程度。保守派の先生たちの嫌いな日本国憲法のほうが古いのです。
--日本の伝統文化の演歌を絶やすな! 超党派「演歌議連」発足へ
http://www.sankei.com/smp/politics/news/160302/plt1603020033-s.html

# これが正しい歴史認識。源流は韓国という衝撃(?)の説も。
--意外と知らない「演歌は日本の伝統」という大きな間違い
http://matome.naver.jp/odai/2136263004066700201

2016-03-04

街づくりに政府はいらない 

以下すべて、東浩紀と大山顕の対談記事「ショッピングモールには理想の街の姿がある」(東洋経済オンライン)より。

"モールへのアプローチがつくられることで結果的に民間企業が歩行者空間を整備している。"
# 民間企業でも道路は整備できる。政府より安価で良い道を。
http://toyokeizai.net/articles/-/106367

"ショッピングモールは、排除的と言われるけれど、実はそういう社会的弱者に優しい空間を実現している。"
# さようなら、車いすやベビーカーに優しくない官製の歩道。
http://toyokeizai.net/articles/-/106367

"行政が規則どおりにつくった区画道路よりも、モールの内部に「理想的」な街路が出来上がったりする。"
# 自己満足だけで利用者の満足に関心のない、政府の都市計画なんかいらない。
http://toyokeizai.net/articles/-/106367

"危険な自動車をすべて駐車場に停めて、歩行者だけの遊歩空間をつくるモールは、コンパクトシティの理念をもっとも正確に実現している。"
# 今そこにある未来都市。その名はイオンモール、ららぽーと、ゆめタウン…
http://toyokeizai.net/articles/-/106367

"内部には巨大なショッピングモール…大衆的なクルーズには社会的な弱者がすごく多く参加…一度船に乗ってしまえば、そのなかにすべてがあって街ごと旅先に移動していく。"
# 豪華客船は弱者に優しい海上の街。お値段も最近リーズナブルとか。
http://toyokeizai.net/articles/-/106367

2016-03-03

不偏不党は正しいか

# 政治的公平性を口実にした大臣発言にもっともな反発。ただし、そもそもジャーナリズムが掲げる不偏不党のスローガンに問題も。
--高市氏の電波停止発言に「私たちは怒っている」 田原総一朗氏、岸井成格氏らジャーナリスト6人が抗議
http://www.huffingtonpost.jp/2016/02/29/journalists-criticizes_n_9346558.html

# 「不偏不党」という一見自明のスローガンはもともと、メディアが権力の弾圧を避けるために始めたもの。
--民意が示したもの - (1)ジャーナリズム史 根津朝彦
http://www.kyoto-np.co.jp/info/seiji/minni/

# 新聞の不偏不党が生まれたきっかけ。「事態を重く見た大阪朝日新聞では…「不偏不党」の方針を掲げた。こうして大阪朝日新聞は、発行禁止処分を免れることになった。これは大阪朝日新聞の国家権力への屈服を象徴」
--白虹事件 - Wikipedia
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E7%99%BD%E8%99%B9%E4%BA%8B%E4%BB%B6

# 明治前期の大新聞(おおしんぶん)は政治的立場をはっきり主張。政府の厳しい言論統制により衰退し、不偏不党を標榜する新聞に取って代わられた。
--明治期のジャーナリズム
http://www.ab.auone-net.jp/~tsuka21/theme/journal.html

# 不偏不党のスローガンを放棄し、立場を明確にした興味深い試み。
--神奈川新聞の「偏ってますが、なにか」宣言が話題に!記者・アーティストら絶賛
http://matome.naver.jp/odai/2144497390062586601

2016-03-02

自由の逆説

歴史家、ラルフ・レイコ(Ralph Raico)への2016年のインタビュー記事「民主主義は兵器となった」(Democracy Has Been Weaponized)より。

<解説>
自由の逆説というものがある。自由な国ほど経済的に豊かになるため、税収で成り立つ政府が強大になり、国内外で自由の侵害をエスカレートさせる傾向があることをいう。かつて英国は国外で植民地政策を展開し、国内で社会主義的な産業政策や福祉政策を推し進め、結果衰退した。現在その轍を踏もうとしているのが米国である。代表的な民主主義国である英米がともに反自由・反平和的な戦争福祉国家(warfare-welfare state)の道を歩んだことは、民主主義が必ずしも自由や平和と両立しないことを物語る。

<抜粋>
大衆民主主義は必ず、対立する勢力の争いに陥る。この争いは腐敗した利己心によって突き動かされ、もろに金銭的であったり、イデオロギー的であったりする。
Mass democracy, as its nineteenth century liberal opponents foretold, inevitably devolves into a contest of contending forces, motivated by corrupt self-interest, either directly financial or ideological.

「民主主義」という概念は兵器となった。それをもたらしたのは、米国政府の地球を股にかけた権力闘争である。
“Democracy” has become a concept weaponized by the US government in its global power struggles.

プーチン露大統領は過ちも多いが、勇気ある内部告発者スノーデンに亡命を認めた。もし米国とその言いなりになる欧州諸国の思いどおりになっていたら、スノーデンは拷問され、おそらく独房で首を吊った姿で発見されただろう。
Vladimir Putin, for all his faults, has assisted the cause of peace and freedom on a number of fronts. Let’s not forget that he granted asylum to the heroic whistleblower Edward Snowden, who, if the US and its European lapdogs had had their way, would have been condemned to torture and probably found hanged in his cell.

米国民の大多数は、外交問題に関心も知識もほとんどない。だから外交にきわめて明確な関心があり、どうすれば得になるかをよく知っている人々が、物事を動かすことになる。
The great majority of Americans have little interest in and virtually no knowledge of foreign affairs. So, again, control falls into the hands of those who have a very definite interest and know exactly what they want.

二大核保有国である米露の間で核戦争が起こっていない一番の理由は、秩序ある社会の完全な終わりを意味するからだろう。…しかし、もしイスラエルが「サムソンの選択」(核攻撃)の実行を決断した場合、結果は不透明できわめて厄介だ。
It seems to me, though, that the basic reason is that such a war, between two nuclear-armed nations, would mean the end of all ordered society...What would happen if Israel ever decides to exercise the Samson Option, however, is unclear but very troubling.

原文:https://mises.org/library/democracy-has-been-weaponized

2016-03-01

もっと危険な候補

# マネーの氾濫で市場を不安定にした張本人たちが集まり、さらに経済をかき回すことで合意しました。
--G20 共同声明 市場安定へ政策総動員 資金流出規制を検討
http://mainichi.jp/articles/20160228/ddm/001/020/160000c

# 彼は少なくともこれまで、海外に軍を派遣し多くのイスラム教徒の命を奪ったことはありません。より危険な候補は他にいるのでは。
--トランプ氏「指名阻止、あらゆる措置を」「クビにする時」 米英メディアが異例の批判
http://www.huffingtonpost.jp/2016/02/27/trump-washington-post-economist_n_9333490.html

# 実害分だけの償いを原則とする日本の民法と異質な、懲罰的損害賠償。問題の本質は知財法、独禁法、証券法違反など、経済的に悪かは疑問でも、政治的に悪とされる企業の行為に高額賠償を科すことです。
--TPPには日本の法体系を破壊する「罠」がある
http://toyokeizai.net/articles/-/106219

# 加入逃れは違法です。しかしそもそも加入強制は、企業に人を雇わないインセンティブをもたらします。経済的により望ましい解を探るべきでしょう。
--厚生年金、加入逃れ阻止 79万社特定、強制も 厚労省、企業版マイナンバー活用
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS23H3G_T20C16A2MM8000/

# 昔に比べ若者の道徳心は低下したと嘆く保守派政治家の先生には朗報。いや悲報?
--イメージと真逆。少年犯罪がじわじわ減ってる件
http://matome.naver.jp/odai/2145654423382001901