2016年3月28日月曜日

〔翻訳〕国家は戦争を欲する

仏経済学者、ギュスターヴ・ド=モリナリ(Gustave de Molinari)による1899年の著書『明日の社会』(The Society of Tomorrow: A Forecast of its Political and Economic Organization)より。

<解説>
未来のディストピアを描いた映画などで、政府機能が民営化され、警察や国防が大富豪の私利私欲を満たすために営まれる、といった設定がよくある。あたかも政府には私利私欲などないといわんばかりである。

しかしモリナリが指摘するとおり、政府にも私利私欲はある。政府も企業と同じく、生身の人間の集合だからである。政府を構成する支配階級は、一般人と同じく、あるいはそれ以上に、自分たちの欲望を満たすことに関心がある。

政府が欲望を満たす手段は、権力である。その権力を無制限に行使できる最大のチャンスは、戦争である。したがって政府には、戦争を引き起こすインセンティブ(誘因)がある。国民を戦争から守るという触れ込みとは裏腹に、政府は潜在的に戦争を欲している。

<抜粋>
あらゆる国家には支配階級と被支配階級がいる。支配階級は、自分たちの雇用を早く大幅に増やすことに関心がある。それが国家に害悪を及ぼすか、利益をもたらすかにかかわらず。
Every State includes a governing class and a governed class. The former is interested in the immediate multiplication of employments open to its members, whether these be harmful or useful to the State, and also desires to remunerate these officials at the best possible rate.

戦争状態は、被支配階級の生命と財産に無制限の権力を行使できることを意味し、支配階級は政府の雇用を思いのままに増やせるようになる。つまり、自分たちの雇用を増やせる。
A State of War, implying an unlimited power of disposition over the lives and goods of the majority, allows the governing class to increase State employments at will—that is, to increase its own sphere of employment.

政府雇用のかなりの部分を占めるのは、文明国家において破壊的行為を担う組織である。この組織は、敵国が力を増すたびごとに成長する。
 considerable portion of this sphere is found in the destructive apparatus of the civilised State—an organism which grows with every advance in the power of the rivals.

戦時になると、兵士は報酬が増え、より栄光に包まれ、昇進の望みが高まる。これらの利点は、耐え忍ばなければならない危険を補って余りある。
In time of war the soldier obtains an additional remuneration, more glory, and an increased hope of professional advancement, and these advantages more than compensate the risks which he is compelled to undergo.

戦争状態は支配層全体にとっても、軍隊を管理し指揮する政府職員にとっても、利益をもたらすのである。
In this way a State of War continues to be profitable both to the governing class as a whole, and to those officials who administer and officer the army.

原文:http://oll.libertyfund.org/quotes/384

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