2016年8月1日月曜日

佐藤優『資本主義の極意』



マルクスはやっぱり役立たず

マルクス『資本論』には、資本主義の冷徹な分析と、共産主義革命の理論書という2つの側面があり、後者の部分はソ連崩壊でダメだとわかったが、前者は役に立つと著者は言う。しかし本書の解説を読む限り、とてもそうは思えない。

著者の解説では、賃金は(1)労働者の体力維持(2)将来労働者となる子供の養育(3)自己教育資金--の3要素で決まる。だが価格はコストで決まるというこの考えは、典型的な経済学的誤りである。価格はコストでなく、需要と供給で決まる。

100円ショップやユニクロ、牛丼で生きることができる日本のような先進国では、企業側はどんどん賃金を下げると、著者はまるで安い商品が悪いと言わんばかりである。かりにそうでも、物価を考慮した実質賃金が上昇すれば問題ないはずだ。

著者によれば賃上げの方法は1つしかない。強力な労働組合をつくり、ストライキ権を背景に会社と団体交渉すること。それで賃上げはできるかもしれないが、会社は雇用を抑え、失業者が増えるだろう。生産が減って社会全体が貧しくなる。

一方で著者は、労働力は機械や原料と違い、資本で作り出すことができないため、景気がよくなると必然的に労働力不足が起き、賃金が高くなると解説する。これは、賃上げの方法は団体交渉しかないという前述の主張と矛盾する。

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