2016年9月24日土曜日

井出英策『18歳からの格差論』


理解不能のユートピア

リベラルが経済的弱者を救えと主張すると、中間層や富裕層が格差是正への反発を強め、社会の対立が強まる。「働きもしないのにただ飯を食わせるのか」と保守派が批判する。だが著者には「発想の大転換」による妙案があると言う。

発想の大転換とは、貧しい人だけでなく、中高所得者を含む社会のメンバー全員を受益者(得をする人)にすることだという。貧しい人にも税を負担させ、中高所得層を豊かにする。しかもその方法でも、格差を縮めることができるという。

もし実現可能ならノーベル賞ものだ。しかし具体例を見ると、狐につままれたような気分になる。Aさんの初めの所得が200万円、Bさんが2000万円。税率が同じ20%として税引後の所得がAさん160万円、Bさん1600万円。

税収計440万円のうち40万円は財政再建に回し、2人に各200万円サービスを給付する。最終的な暮らしの水準はAさん360万円、Bさん1800万円。以上。Bさんの所得は初めの2000万円より減っている。どこが得なのか。

もしかすると著者は、税引後所得の1600万円と最後の1800万円を比べて、Bさんは得をしたと言いたいのだろうか。理解不能だ。リベラルの楽園で話される言葉は、「損は得である」というオーウェル的な二重言語に違いない。

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