2016年11月29日火曜日

上念司『財務省と大新聞が隠す本当は世界一の日本経済』

財務省と大新聞が隠す本当は世界一の日本経済 (講談社+α新書)
財務省と大新聞が隠す本当は世界一の日本経済 (講談社+α新書)

財政破綻しないのはよいことか


個人や団体が借金で破綻しないことは一般には望ましいものの、いつもそうとは限らない。とくに国の財政の場合、破綻しないのはむしろ悪である場合が少なくない。国の収入源は税であり、税は借金に責任のない国民まで苦しめるからだ。

著者は、財政破綻を避けるために増税が必要とする財務省やマスコミの主張を批判する。またUR(都市再生機構)など政府系法人の業務を縮小し、不要な出資金を政府に返せと述べる。これらの主張は正しい。ところがその後がいけない。

著者は、徴税権と通貨発行権を持つ政府を不死身の「鈴木さん」にたとえ、鈴木さんの仕事は町内会を回って会費を集めることで(徴税権) 、鈴木さんの妻は偽札作りの名人 (通貨発行権)なので借金を返せなくなることはないという。

しかし、考えてもみてほしい。鈴木さんと同じ町内に住む人々は幸せだろうか。無駄遣いされない保証もないのに町内会費を取られ、いつ偽札をつかまされるかわからない。こんな形で鈴木家の破綻が避けられても、他の住民には迷惑でしかない。

むしろ住民にとっては鈴木家が破綻し、夜逃げでもしてくれたほうがましだろう。著者によると、財政破綻で公営医療が崩壊した北海道夕張市では、意外にも老人が元気になり、寿命も延びたという。財政破綻は必ずしも悪いことではない。

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