2016年6月30日木曜日

橋本治『国家を考えてみよう』



無責任なはぐらかし

若い人はなぜ政治に関心を持たないのか。著者は、政治が「ややこしくてむずかしい」からだという。しかし複雑で難しい情報技術、法律、会計、外国語などを熱心に学ぶ学生は少なくない。それ相応の見返りがあるからだ。

若者に限らず政治に無関心な市民が多いのは、関心を持ち取り組んでも、コストに見合う見返りがほとんどないからだ。一方、農家、労組、規制産業、宗教団体など有形無形の見返りが見込める関係者は政治に熱心である。

著者は、棄権者は「政治に参加する義務」を放棄していると非難する。だが政治参加は権利であって義務ではない。時間の無駄でしかなければ、パスするのは当然だし賢明である。税金の分捕り合戦に参加しないのは、むしろ道徳的に立派といえる。

著者は、選挙に行こうと言いつつ、都合の悪いことは無責任にはぐらかす。選びたい政治家がいなかったらという問いに、「選びたいような人が生まれて来る世の中にする」。生まれて来るまで棄権してもいいということか。

国家は暴力的で、だから領土問題が起こると重要な主題に触れても、著者はそれ以上踏み込まない。暴力なら投票でお墨付きを与えず、棄権で拒絶してもいいはずだ。国家について「ちゃんと考えなければいけない」のは著者自身である。

2016年6月29日水曜日

〔翻訳〕最低賃金上げの害悪

最低賃金の引き上げは未熟練労働者(least-skilled members)に失業をもたらす。賃金が高くなると、生産コストが高くなる。すると物価が高くなる。すると商品・サービスへの需要が小さくなり、その生産に必要な労働者の数が少なくなる。
https://mises.org/library/how-minimum-wage-laws-increase-poverty

最低賃金法とは、失業の強制(compulsory unemployment)である。時給Xドル未満で人を雇う者はすべて法律違反となり、犯罪者となる。
https://mises.org/library/crippling-nature-minimum-wage-laws

最低賃金を引き上げれば、最低賃金を受け取る者はより多くの収入を得る。これは見えるものである。見えない(unseen)ものは、もし最低賃金を引き上げなければ職を得ていたであろう、市民の数である。
https://mises.org/library/unseen-costs-minimum-wage

最低賃金を引き上げれば、企業は解雇する従業員より多くの人を雇わないだろう。たとえば映画館は案内係(ushers)をほとんど雇わなくなった。多くの企業は自動化を進めているが、少なくともその一因は最低賃金の引き上げである。
https://mises.org/library/yes-minimum-wages-still-increase-unemployment

統計によれば、最低賃金法への批判は正しい。最低賃金のせいで全国失業率が天文学的水準に上昇しないのは本当だが、若年層や人種的マイノリティ(ethnic minorities)には深刻な影響を及ぼす。https://mises.org/library/mythology-minimum-wage

2016年6月28日火曜日

白井聡『戦後政治を終わらせる』



私的所有権の無視

「国家は国民に優越する」という明治以来の国家主義を一掃するため、近代的原理の徹底を図れと著者は提言する。ところが、その根幹であるはずの私的所有権に冷淡である。これでは成功はおぼつかない。

著者が近代的原理の例としてあげるのは、基本的人権の尊重、国民主権の原理、男女の平等であり、私的所有権は言及されない。形式上は基本的人権に含まれるものの、実際には無視、いや敵視すらしていると思われる。

著者が私的所有権を無視・敵視している傍証は、おなじみ「新自由主義」への執拗な攻撃である。もし新自由主義が政府と企業の癒着を指すのであれば、批判は正しい。だが著者は、多国籍資本とアメリカ国家は「別物」という。

資本は私有財産だから、他人の自由を侵さない限り、自由に使えなければならない。それが近代的原理である。ところが著者は近代的原理を守れと言いつつ、財産利用の自由は認めない。これは矛盾であり、著者の議論を著しく弱める。

私的所有権は金儲けのための特権ではない。一坪反戦地主運動も、私的所有権がなければ不可能である。左翼の著者は認めたくないだろうが、私的所有権を擁護しない近代的原理など、ほとんど無意味であり、無力である。

2016年6月27日月曜日

〔翻訳〕国家を立ち去る方法



*ボーダーズ&タッカー『国家を立ち去る99の方法』(99 Ways to Leave Leviathan)より抜粋。

海上居住(Seasteading)。Blueseed.com は早くから取り組むベンチャー企業。 Seasteading.org もオランダの企業と組み海上居住のモジュールを設計。政府が課税・規制を強めるほど、海上に住み働くことは現実味を増す。

新型タバコ(Alternative nicotine delivery)。手巻きタバコの復活、無煙タバコ、電子タバコなどがブームに。健康への配慮と重税への対応。嫌煙家の多くは歓迎するものの、対タバコ戦争を受け持つ官僚は苦い顔。

物々交換(barter markets)、あるいはサービスの交換。互いの製品を販促し合うなど。お金のやり取りがなければ、政府とのあらゆる面倒を避けることができる。税務署に対する自然な対応。

租税回避(Tax sheltering)。たとえばアップルの租税回避の仕組みは多国籍にまたがる複雑きわまるもので、とても追跡できない。その結果、資本が増え、アイフォンの魅力を高めた。政治家は不満だが、消費者は喝采。

企業の国外移転(Offshoring and inshoring)。米国企業は世界一高い法人税(州税を含む)を避けようと、海外に生産拠点を移転。外国企業は高い税やカルテル化された労組を避けるため、米国に移転。

2016年6月26日日曜日

〔本〕『夕陽妄語1』



普遍の価値

西洋由来の人権思想は日本になじまないとか、一神教は攻撃的で多神教は平和的だとか、ナショナリズムに淫した言論が幅を利かす。しかし著者は日本文化を深く愛するとともに、国や文化を超えた普遍の価値を重んじる。

<抜粋>
歴史の歪曲と戦うために有効な武器は、「イデオロギー」に非ず、倫理的な善悪に非ず、政治的な立場に非ず、つまるところ歴史の事実である。(p.47)

一世代の経験には、他の世代に伝え難い要素があり、一国民の経験には、その国民にしかわからぬ一面がある。そんなことは、はじめから明らかで、今さら強調するまでもない。その上で、しかも、個人間に、あるいは集団相互に、敢えて話を通じさせる工夫こそが、文化ではなかろうか。(p.51)

かつて天賦人権の思想を生みだした文化もあり、生みださなかった文化もある。私は長次郎を限りなく愛するが、それだけで満足することはできない。どの文化が生み出したとしても、また基本的人権に執着するのである。(p.148)

多神教がこの神もあの神もよろしいというのはその体系内部での話である。別の民族の別の多神教の体系に対しても寛大であるとはかぎらないだろう。(p.333)

2016年6月25日土曜日

〔翻訳〕離脱は住民の権利



*ソーントン編『ミーゼス引用句集』(The Quotable Mises)より抜粋。

国が州に「お前は私のものだ」という権利はない。州は住民(inhabitants)から成る。どこに属するかを言う権利があるとしたら、それは住民である。国境紛争は国民投票で解決しなければならない。

いかなる国民もその一部も、自分の意志に反して、望まない政治連合(political association)に組み入れられてはならない。

ある州の人々が連邦(union)を離脱したいと望む場合、自由主義はそれを妨げない。

国からの離脱・国への残留の意思は、自由な国民投票(plebiscite)で表明されなければならない。…革命、内戦、戦争を防ぐ実現可能で有効な方法はそれしかない。

もし(国と同じ)自決権(right of self-determination)があらゆる個人にも可能だとしたら、実現しなければならない。

2016年6月24日金曜日

〔翻訳〕左翼が愛するトリクルダウン理論

税率下げを支持する人々は、今ある富を高所得者や企業に移せと言っているのではない。新たな富の創造を求めているのだ。…この主張を正面から批判せず、ありもしないトリクルダウン理論(non-existent ‘trickle down’ theory)を叩いて議論から逃げるとは。
http://blogs.spectator.co.uk/2015/04/sorry-but-trickle-down-economics-doesnt-exist-and-never-has-done/

大成功した企業でも利益を出すまでには何年もかかっている。アマゾン(Amazon)は1995年に創業し、6年後に黒字になるまで、何十億ドルも損をした。その間ずっと、従業員と納品業者は賃金・代金の支払いを受け続けた。
https://www.nccivitas.org/2014/myth-trickle-economics/

経済学者ケインズ(John Maynard Keynes)は1933年、長期では税率引き下げのほうが「引き上げよりも財政を均衡できる見込みが大きい」と述べた。(これはまるでトリクルダウン理論だが)ケインズは極右ではない。
http://www.nationalreview.com/article/367682/trickle-down-lie-thomas-sowell

トリクルダウン理論は市場経済とは正反対だ。金を受け取る資格のない金持ちに札束を渡し、それが庶民にこぼれ落ちるのを待ち望むというのだから。たしかにそういうことはある。破綻しかけた銀行の救済(bank bailouts)は悪名高い例だ。
http://www.austriancenter.com/2015/01/08/trickle-down-economics-is-a-leftist-lie/

本当のトリクルダウン理論を支持するのは、実は介入主義者や社会主義者(interventionists and socialists)だ。彼らは、皆に課税して政府に金を与えれば、やがて中産階級や貧困層にしたたり落ちると考えている。
https://mises.org/blog/whole-trickle-down-thing

2016年6月23日木曜日

〔本〕『昭和天皇は戦争を選んだ!』



昭和天皇の偶像

「昭和天皇は平和主義者で、戦争になったのは政府の決定に従う立憲君主だったから」「自分はどうなってもいいからとマッカーサーに直訴し国民を救おうとした」――。これら保守派史観を検証・批判。史料の解釈に異論はあるかもしれないが、しっかり根拠を示す論陣と燃えるような怒り、ときにのぞくユーモアで読ませる。

<抜粋>
大日本帝国憲法は天皇大権を規定しており、「君臨すれども統治せず」という英国流の議員内閣制の憲法ではない。…絶対的大権を天皇に保持させた「英国の憲法とは根本に於て相違がある」憲法だった。(p.61)
 
昭和天皇が「私の身はどうなろうと構わないから、国民を作ってほしい」といって降伏した、という真っ赤なウソの作り話は…マッカーサーとの会見についてのリアルタイムの記録には全く無いものである。(p.132)

東条〔英機〕や木戸幸一ら股肱の臣を死刑、終身刑に処し、昭和天皇は免罪した「戦争裁判」である東京裁判…に対して、昭和天皇はあらためて心からの感謝の意を、日本から去るマッカーサーに伝えたのだった。(p.221)
 
〔弟の〕高松宮は天皇が「裸の王様」であることをよく知っていた。昭和天皇が本心から対英米開戦し、宮(や近衛)の早期和平提案にも耳を貸さず、いたずらに国民の犠牲を激増させたことをよく知っていた。(p.244)

2016年6月22日水曜日

〔翻訳〕新自由主義というバズワード

新自由主義という言葉を聞いたらご用心。…それを全然支持していない者を悪魔に仕立て上げるために考案されたレッテルである。
https://fee.org/articles/neoliberalism-the-left-s-eternal-boogeyman

新自由主義とは、市場経済に関するあらゆる政策理念を論証抜きにこき下ろし、侮辱するための言葉である。
http://www.politicsweb.co.za/opinion/the-sa-left-and-the-neoliberal-straw-man

もし新自由主義が政府債務の削減に関係あるとしたら、欧米諸国の政策が新自由主義に影響されている証拠はほとんどない。
http://www.cityam.com/242285/the-imfs-strawman-critique-of-neoliberalism-puts-successful-liberal-reform-in-jeopardy

新自由主義者(実際は古典的自由主義者)は、不平等そのものが善だと称えたりしない。経済的チャンスを広げ、多数の犠牲で少数を潤す法的な特権と独占を取り除くことで、不平等の原因のいくつかをなくそうと考える。
https://fee.org/articles/neoliberalism-making-a-boogeyman-out-of-a-buzzword

リベラル派は、企業が大きすぎると不平を言う。(彼らが支持してきた)複雑な税法、複雑な規制、複雑な許認可制度を作れば、大規模な企業だけが生き残るのは当然である。
http://bleedingheartlibertarians.com/2011/11/dear-left-corporatism-is-your-fault/

2016年6月21日火曜日

〔本〕『昭和史』



国家主義による惨禍

膨大な犠牲者を出し敗れた昭和の戦争の原因は、国民は国家のためにあるとする明治以来の国家主義にあったと正しく指摘。従軍慰安婦問題、南京虐殺事件は日本軍の短期的で狭い視野がもたらしたと喝破する。天皇の戦争責任についての見解がやや穏当すぎる気もするが、開戦を最高責任者として承認した責任、降伏が遅れ戦禍を拡大させた責任は明記する。

<抜粋>
この戦争〔=日中戦争〕を神聖な戦争と意義づけたことは、日本内部での戦争に対する冷静で客観的な検討の余地を封じ、日本の中国側への譲歩をむずかしくし、戦争を長期化させる結果を招いた。(p.143)
 
従軍慰安婦問題の核心は、日本軍の兵士の待遇にある。一度出征すると一年以上も戦場にとどめられた。…常に短期的な視野で、余裕のない精一杯背伸びした戦いをし続けたつけが慰安婦問題という重い問題を引き起こしたのである。(p.148)
 
松井石根中支那方面軍兼上海派派遣軍司令官は…上海戦苦戦の不名誉を挽回しようとした…南京事件は、兵士の気持ちより自分の名誉を優先したエリート軍人の視野の狭さにより兵士たちが無理を強いられたことが招いた悲劇だった。(p.148)
 
〔昭和天皇は〕降伏という大事な決断をした…。戦争による問題の解決という方向性をしぶしぶとはいえ最高責任者として承認し、全面降伏を避けるために一撃講和論に賛成して惨禍を拡大することに加担したことも事実である。(p.369)

2016年6月20日月曜日

〔翻訳〕インフレ政策は全体主義に導く



*ソーントン編『ミーゼス引用句集』(The Quotable Mises)より。

<抜粋>
インフレーション(通貨膨張)政策は軍国主義になくてはならない知的道具である。インフレ政策ができなければ、福祉に対する戦争の悪影響がもっと早く明らかになり、厭戦気分(war-weariness)がすぐに広がるだろう。

生活費の増大に不満をこぼさない世代はない。しかし何もかもが高くなるということは、単に貨幣の交換価値(exchange value)が下落していることを意味する。

欧州の好戦的な諸国民(belligerent peoples)も、各国政府が戦費を〔通貨膨張でごまかさず〕もっとはっきり公表していれば、ずっと早く戦争にうんざりしたことだろう。

インフレーションは戦争と革命にとっていつも重要な政策手段(resource of policies)だ。社会主義にとっても同じである。

インフレーションは国家主義と恣意的な政府の財政補完手段である。それは複雑な政策・制度の歯車(cog)の一つであり、次第に全体主義へと導く。

2016年6月19日日曜日

〔本〕『国ってなんだろう?』



軍隊で文化は守れない

日本文化を防衛するには軍隊が必要だと三島由紀夫は考えた。それは誤りである。軍隊はおろか、国家すら持たないユダヤ人は二千年もの間、その文化を堅く守った。国家主義の迷信から覚める本。

<抜粋>
およそ200年前に産業革命とともに生まれた国民国家というかたちが、グローバルな経済構造や技術水準が変化してきた時代に、そのまま通用すると考えるほうが無理があります。変化を求めてもおかしくありません。(p.165)

ディアスポラ〔離散〕の思想が教えてくれるのは、土地を支配しなくても、ましてや他の民族を支配せず、彼らから土地を奪わなくても、独自の文化を保持することは可能である、ということです。(p.196)

「領土を守る」という発想そのものを考え直す時期だと思います。…「武力で守る」というのは、古い拡張主義の名残のようなものです。そしてその武力は「本格的な戦争」につながるものです。(p.211)

要塞のように武力で閉ざした国家が長く繁栄したという歴史はありません。…移住や交流は文化的にも相互に刺激や豊かさをもたらすものであったはずです。その多様性を否定したのは、むしろ近代の国民国家のほうでした。(p.220)

2016年6月18日土曜日

〔翻訳〕政府信仰という宗教



*ラーケン・ローズ『最も危険な迷信』(The Most Dangerous Superstition)より。

<抜粋>
政府とは、科学的概念(scientific concept)でもなければ合理的な社会学的概念でもない。人間が組織を作り協力するための論理的な実践方法でもない。政府への信頼は理性に基づくものではない。それは信仰に基づく。

政府の教義と、政府より劣る神々の教義がぶつかると、つねに政府の教義が優先される。「なんじ盗むべからず」(Thou shalt not steal)よりも「納税の責務を果たせ」が優先し、「なんじ殺すべからず」(Thou shalt not murder)よりも「兵役は国への義務」が優先される。

多くの人は無政府社会と聞くと、冷静に議論しようとせず、相手を侮辱し、感情的になり、弱肉強食の怖ろしい世界になると決めつける。これは彼らの政府信仰が、根拠と論理(evidence and logic)に基づきよく考えた結果ではないからである。

おかしなことにほとんどの国家主義者は、政治家がたいていの人よりも不正直で地位を悪用し、陰険で利己的だと認める。にもかかわらず、文明が存続するにはこれらの特別信用ならない連中(particularly untrustworthy people)に権力を与えろと主張するのだ。

政府信仰によって人々の争いはなくせない。むしろ個人的ないざこざ(personal disagreements)を、大規模な戦争や大衆の弾圧にエスカレートさせる。

2016年6月17日金曜日

〔本〕『集団的自衛権限定容認とは何か』



政府の自衛権は迷惑

政府は鉄道や年金すら満足に運営できないのに、なぜか防衛だけは得意だと信じられている。そんな政府同士が組めば害は増幅。著者が主張するように、自衛権こそ憲法で縛る政府に自衛権など認めないに如くはない。

<抜粋>
国家の最高・独立性という性格から、その最高・独立とされる国家の内容は決まらない。その内容を決めるのは、君主ではなく憲法である。そこに立憲主義の意義がある。(p.68)

憲法が理念や目的のみを定め、その実現方法が政治に委ねられるとすると、立憲主義の意味はなくなる。(p.69)

人権を実現する基本的な手段や方法は、憲法によらなければならない。人権論は、人権を実現するためとして、権力を正当化しやすい。その手段を規律するのが憲法の役割であり、その考え方が立憲主義である。(p.69)

〔2014年7月閣議決定の〕「国民を守る」は邦人避難におけるような個々の国民をイメージさせる政治的、イデオロギー的効果を生じさせているが、法的、論理的には無内容だということであろう。(p.75)

2016年6月16日木曜日

〔翻訳〕良い税とは廃止された税



*ハリー・ブラウン『リバタリアンの演説抜粋集』(Liberty A to Z: 872 Libertarian Soundbites You Can Use Right Now!)より。

<抜粋>
政府を十分小さくすれば、所得税を廃止しても代わりの税はいらない。フラット税(flat tax)、売上税、その他いかなる税もいらない。

政府を小さくしない限り、本当の減税は実現できない。
We will never get real tax relief until we reduce the size of government.

税が国民所得(national income)の半分に達するということは、共働き夫婦の1人が政府のために働き、もう1人が家族のために働くことを意味する。

良い税とは、廃止された税のことだ。
The only good tax is a dead tax.

いわゆる「減税」「税制改革」とは、大きな政府の巨大な重荷を再分配することにすぎない。
“Tax cuts” and “tax reform” merely redistribute the awful burden of big government.

2016年6月15日水曜日

柄谷行人『憲法の無意識』



暴力と非暴力の混同

戦争とは、物理的暴力やそれによる威嚇で他国を屈服させる行為である。だから戦争について考えるにはまず、何が暴力で、何が暴力でないかを区別する必要がある。だが本書はそれらを混同している。

著者は「通常、実力という場合、暴力・武力を意味しています。が、金の力もあります」(p.118)という。しかし金の力だけでは人を物理的に傷つけない。だから憲法9条は政府に武力の放棄は求めても、金力の放棄は求めない。

また著者によれば、商取引は真に対等な関係ではない。貨幣をもつ者(資本家)はいつでも商品を買える強みがあるからだという(p.124)。だが現金はインフレで減価するし、過剰な現預金を抱える不効率な企業は買収の格好の標的となる。

一方、国家は暴力を背景に個人から税を奪うものの、それは公共事業・福祉政策などの形で再分配され戻ってくるから、一方的な収奪ではなく「交換」だという(p.122)。もしそうなら押し売りも立派な「交換」ということになる。

戦争の放棄はキリスト流の「純粋贈与」だという(p.128)。だが何かを贈与するには、それがまず自分のものでなければならない。つまり所有権の保護が必要であり、平和の鍵は所有権である。著者が気づいていないこの帰結だけは偶然正しい。

2016年6月14日火曜日

〔翻訳〕EU離脱は怖くない

欧州連合(EU)離脱は、必ずしも国際貿易の減少や保護主義(protectionism)の高まりを意味しない。むしろ英国民がEUの規制、関税・貿易政策、非常に保護主義的な農業政策を脱するチャンスである。
https://mises.org/blog/how-brexit-could-help-all-europe

英国がEUにとどまって得られる貿易の利益よりも、EU外での貿易の利益がすぐに大きくなりうる。英国が一方的な(unilateral)貿易自由化を宣言すればそれは可能だ。
https://mises.org/blog/free-trade-brexit-and-wto

EU離脱反対派にとって最も打撃となる事実は、欧州で最も豊かな二つの国がEUに加盟していないことだ。それはスイスとノルウェー(Switzerland and Norway)である。
https://mises.org/blog/brexit-movie-makes-economic-case-against-eu

英国がEUを離脱し、金融規制、オフショアセンター、2%インフレ目標などに関する政策が見直されれば、金融市場はパニック(panic)になどならず、むしろ歓迎するだろう。
https://mises.org/blog/how-brexit-presents-roadblock-eu-us-establishment

ユーロ圏は経済的に瀕死(moribund)で、明らかに失敗した政策に固執している。民主主義に無頓着で、少数の居座り続けるエリートによって運営され、ゆっくりと死につつある。
http://www.theguardian.com/commentisfree/2016/may/20/brexit-best-answer-to-dying-eurozone-eu-undemocratic-elite

2016年6月13日月曜日

〔本〕『それってどうなの? 沖縄の基地の話。』


俗説を検証・反駁

沖縄の海兵隊は対中国・北朝鮮への抑止力として重要? 沖縄は地理的にいい位置にあるから米軍が集中する? 基地は人権問題を起こしていない? 政府見解や俗説を検証・反駁する小冊子。ウェブでも公開

<抜粋>
米軍は、沖縄戦の最中、住民を強制収容している間に、地主の同意もなく土地を取り上げて基地建設を開始し、戦後もそのまま占領し続けました。これは国際法が違法としている重大な人権侵害です。
http://okidemaproject.blogspot.jp/2016/03/1-6.html

「中国や北朝鮮は何をするか分からないので沖縄の米軍基地は必要だ」との考えは抑止力の基本を無視しています。何をやるか分からない相手に抑止は効きません。…相手に合理的な判断力がなければ抑止効果は望めません。
http://okidemaproject.blogspot.jp/2016/03/2-4.html

政府は、沖縄は台湾海峡と北朝鮮を同時に睨むことができる、と主張します。距離を測ると海兵隊を運ぶ船がある長崎県佐世保や佐賀県の方が距離的には沖縄より有利な位置にあります。九州はどこも距離的には同じです。
http://okidemaproject.blogspot.jp/2016/03/3-5.html

南沙諸島全域か大半を中国が武力で手中に収めたかのように思っている人も多いようですが、現在、実効支配している島や礁の数はベトナムが一番多く20以上、フィリピンが9、中国が7、マレーシアが5以上、台湾が1という現状です。
http://okidemaproject.blogspot.jp/2016/03/5-9.html

2016年6月12日日曜日

〔翻訳〕マルクス主義というアヘン


*ウイスニウスキー『自由の箴言』(The Pith of Life: Aphorisms in Honor of Liberty)より。

<抜粋>
バスティアハズリットは、素人でもわかる経済学。マルクスとケインズは、素人が考えた経済学。
Bastiat and Hazlitt: economics for dummies. Marx and Keynes: economics by dummies.

マルクス主義とは、経済学に無知な人のアヘンである。
Marxism is the opium of economic illiterates.

マルクス主義を一言でいうと、「財産に応じて取り、嫉妬に応じて与える」。
Marxism in one sentence: from each according to his wealth, to each according to his envy.

マルクス主義とは、経済的な知識は政治的な嫉妬で代用できるという考えである。
Marxism: the notion that political envy is a substitute for economic knowledge.

人類を愛する人が人間を愛することはめったにない。
Lovers of humanity are rarely lovers of humans.

2016年6月11日土曜日

〔本〕『世界史の中のパレスチナ問題』


近代国家の災厄

イスラエルとパレスチナの対立は聖書時代に遡る宿命などではない。国民国家という近代の産物がもたらした災厄である。領域・人民に排他的な統治権を及ぼす近代国家の特殊性と問題性が浮き彫りに。

<抜粋>
「アラビア語を話しているユダヤ教徒」が存在したということは、この(アラブとイスラエルの)民族的な対立がけっして「二〇〇〇年以来の宿命の対立」などの聖書時代以来のものではなく、アラブ人やユダヤ人という民族意識が近代になってナショナリズムのイデオロギーのおかげで形成されたためなのです。(p.41)

もし複雑な社会構成をもつアラブ社会を上から統合して、画一化の方向にもっていこうとしたら、強圧的な手段を使わざるを得なくなるわけです。このことがしばしば独立直後に少数派の弾圧、あるいは場合によっては政府レベルによる大量虐殺につながってしまうことになります。これは多民族・他宗派国家の悲劇ではありますが、国民国家モデルではけっして問題の解決につながらないことを意味します。(p.49)

敬虔なユダヤ教徒たちからすれば、信仰の観点からは聖域に入ることを神によって禁止されているのであり、物理的な土地という〈場〉はメシア(救世主)の来臨という観点からほとんど問題にならなかったのです。だからこそ、前近代においてユダヤ教徒はこの聖地エルサレムを排他的に占拠するということは考えていなかったために、聖地をめぐる争いが現在のような形の「領土問題」的な紛争としては顕在化することはなかったのです。(p.56)

「ユダヤ人」と分類される人びとの中には、ユダヤ教徒であってもアラビア語を話していて自分のことをアラブ人だとみなしている人も当然いるわけですが、そのようなユダヤ教徒であり、同時にアラブ人であるという存在のあり方が、「非ユダヤ人諸コミュニティ」という表現を使うことでバルフォア宣言によって否定されてしまったのです。(p.182)

2016年6月10日金曜日

〔翻訳〕インフレ政策と貯蓄意欲


*ソーントン編『ミーゼス引用句集』(The Quotable Mises)より。

<抜粋>
インフレーション(通貨膨張)は資本を食う活動を生みやすい。その結果、経済計算(economic calculation)と会計をゆがめる。実体のない見せかけだけの利益をもたらす。

インフレーションが極限まで行き着くと、その通貨による後払い契約(deferred payments)は完全に姿を消す。

金融が緩和され通貨量が膨張すると、庶民は不運なとき(less propitious days)に備えて貯蓄しておく気持ちが削がれる。

インフレーションは本質的に反民主的(antidemocratic)である。

国民の操縦を支持する人々は、インフレーション政策なしにはやっていけない。そうでないと、ばらまき財政(reckless spending)をやったり、有権者に気前よく補助金や賄賂を配ったりできない。

2016年6月9日木曜日

〔本〕『「慰安婦」問題・日韓「合意」を考える』


正義なき政治取引

リベラル派も称賛する2015年12月の日韓合意。歴史的事実と法的正義をあいまいにし、両国政府が被害者の頭越しに行った政治取引。吉見義明のインタビューが簡潔でわかりやすい。

<抜粋>
最も大きいのはやはり、(慰安婦制度を作り)女性に対する重大な人権侵害をした主体は誰か、という点だ。責任の主体が相変わらず曖昧だ。…『軍の関与』ではなく『軍が』として主語を明確にしなければならない…業者が介入した場合も軍が主体で業者は従属的な役割をした。(p.65)

韓国政府は少女像の撤去のために努力するという義務を負うことになったし、国際社会でこの問題を再び取り上げないという約束までした。岸田外相は、韓国政府が慰安婦関連証言と記録をユネスコ世界記録遺産として登録しないと話している。こうして見ると、韓国政府が外交的に失敗したのではないかと考える。(p.65)

戦後70年が過ぎたが、日本は依然として植民地支配や戦争責任問題にまともに向き合えずにいる。…米国もフィリピン支配やベトナム戦争に対してきちんと謝罪しないように、日本もなかなかそれが容易ではない。しかし、このような状態が続くならば日本は東アジアや国際社会でまともに生きていけないだろうと考える。(p.66)

結局、韓日両国政府が手を組んで被害者に『もうこれ以上は言うな』と押さえ込む構図を作った。今回の合意は常識的に考えればありえない内容が含まれており、白紙に戻してもう一度考えなければならない。時間がかかっても、困難に陥った時は根本に戻るしかない。(p.67)

2016年6月8日水曜日

〔翻訳〕インフレ政策と軍国主義


*ソーントン編『ミーゼス引用句集』(The Quotable Mises)より。

<抜粋>
(インフレによって)お金は熱いオーブンに置かれたチョコレート(chocolate)のように、人々のポケットで溶けていった。

インフレーション(通貨膨張)政策を選べるのは、それが長続きしないと世間が信じている間だけである。インフレが止まらず、お金の価値が下がり続けると人々が気づいたら最後、お金の運命(fate of the money)はもはや変えられない。

金本位制の健全な金融政策が自由主義(liberalism)、自由貿易、資本主義、平和と密接な関係があったように、インフレーション政策は帝国主義、軍国主義、保護主義、国家主義、社会主義と不可分である。

インフレーションと金融緩和は現代政府が大盤振る舞いするためのお気に入りの方法(preferred methods)だが、入手可能な経済資源を何も増やさない。一部の人々を金持ちにはするが、その分、他の人々を貧しくするだけだ。

政府が国民、とりわけ無知な大衆に示す見せかけの気配りは、単なる目くらまし(mere blind)である。政府が欲しいのはインフレーションと金融緩和である。好景気と低金利が欲しいのだ。

2016年6月7日火曜日

〔本〕『憲法と政治』


政治権力を疑え

「自由な政府は、信頼ではなく猜疑に基づいて建設される」(ジェファーソン)。立憲主義の根本にあるこの考えは正しい。だから政治権力に防衛を任せてはならない。本書では述べられていないが、福祉や教育も同様。

<抜粋>
権力は疑われ、監視されなければならない。政治権力は憲法によって縛られなければならないという立憲主義の考え方は、そのような権力への猜疑に基づいており、国家権力には侵すことのできない個人の自由があると想定する。(p.18)

徳川封建制の家父長制的で家産制的な日本法観念だけが伝統的な法観念ではなく…中世の「天道」「道理」といった自然法的な理解があるという。権力は「道理」の下にあらねばならないという観念である。(p.26)

近代立憲主義の観点からみて重要なのは、人がどのような考え方を持つとしても、そのこと自体は、個人の自由だということである。近代立憲主義が問題にするのは…特定の国家像や価値観を、国家が国民に押しつけることである。(p.28)

純粋な統治行為論がとられるのだったら、司法府は判断を示さないはずであるから、ここで判示は終わるはずだが、さらにこの判決〔=砂川事件最高裁判決〕は、駐留米軍の合憲性に検討を進めたのだった。…要は実体判断に踏み込んで、合憲と言っているのである。(p.239)

2016年6月6日月曜日

〔翻訳〕不景気は健全で必要

中央銀行が金融を緩和すると、経済成長は一見加速する。実際には、経済成長の見える(visible)部分が加速するにすぎない。その結果、同じくらい必要なのに目に見えない部分は害を被る。
https://mises.org/library/boom-and-bust

中央銀行が金利を自由な市場で決まる水準以下に引き下げると、企業家に誤まったメッセージ(false message)を発することになる。企業は消費者が貯蓄を増やしたと誤解し事業を拡大し始めるが、実際には消費者は金利低下を受け貯蓄を減らしている。
https://mises.org/library/austrians-can-explain-boom-and-bust

投資で損をしないためには、次のことを理解しておかなければならない。中央銀行が引き起こす好景気は、新時代の到来という幻による熱狂(euphoria)から、それがすべて失われるどん底に転じる。好景気は問題で、不景気はその解決なのだ。
https://mises.org/library/fear-boom-not-bust

不景気とは景気循環のうち、(投資判断の)誤りを発見する局面である。…不景気を通じて誤り(errors)が発見され、(誤った投資に向かっていた)経営資源が自由になり、より価値の高い生産工程に利用できるようになる。
https://mises.org/library/are-austrians-too-harsh

世間一般では好景気は喜ばれ、不景気は嫌がられるもの。しかし(ミーゼス、ハイエクら)オーストリア経済学の見方は違う。不景気は健全で必要な(healthy and necessary)もの。好景気の異常と過剰を修正するにすぎない。
https://mises.org/library/why-we-need-recession

2016年6月5日日曜日

〔本〕『「慰安婦」問題の現在』


権力者の免罪符

法学者の李在承による論考が特に有益。日本政府・軍を免罪する『帝国の慰安婦』の誤りを衝く。法的責任を否定し「道義的責任」に逃れる欺瞞。権力に免罪符を与えるとき文学は死を迎える、との批判が厳しい。

<抜粋>
朝鮮が植民地であったという事実、植民地として安定化していった事実は日本当局の暴力が、自然で野放しの暴力から制度的な暴力へと移行したことを意味する。…朝鮮人女性には制度的暴力が合法的に行使できた…。(p.71)

運営主体として民間業者の慰安所を強調するとしても、それすらも軍隊の徹底した管理と統制の下にあったという点に変わりはない。慰安婦問題の主犯は業者ではなく日本軍部であった。(p.78)

責任の基本とは法的な責任であり行為の責任であると考える。…重大な人権侵害において法的責任につながらない責任論は真正性がない。法的責任を排除した論理は実際に責任を無効にしたり空虚にしたりするためである。(p.88)

日本の学者らの相当数が法的責任を否定し、その否定に基づく道義的責任や人道的責任を論じている。法的責任がないのであればそこで終わりであり、なぜ人道的責任を履行しようとするのか理解できない。(p.88)

2016年6月4日土曜日

〔翻訳〕アメリカ帝国の起源

平和の女神(gentle Peace)がいまの不幸をとりのぞき、かつての幸福を
われわれに恵んでくださらぬ理由はなんなのでしょう?
(シェイクスピア『ヘンリー五世』、小田島雄志訳)
http://oll.libertyfund.org/quotes/324

アレクサンダー大王(Alexander the Great)は兵にアジアを破壊させなかった。大王は兵にこう告げた。「自分の物は惜しめ。壊してはならん。もうお前たちの物なのだから」 (グロティウス)
http://oll.libertyfund.org/quotes/315

米国は戦争ではスペインを破った。しかし思想信条ではスペインに征服されかけている。拡張政策に帝国主義(Expansionism and imperialism)という古い哲学。スペインはそれで国を富まそうとしたせいで、今日の衰退を招いたのだ。 (サムナー)
*アメリカ帝国主義の起源とされる米西戦争(1898年)への論評。
http://oll.libertyfund.org/quotes/314

常備軍が国民を奴隷にしないとしたら、それは有徳な君主(virtuous Prince)がそうしないからにすぎない。ある人間の意志しか自由を守る手段がないとは、これほどみじめなことはない。たとえそれがこの世で一番正しい人物だとしても。 (トレンチャード)
http://oll.libertyfund.org/quotes/292

外国軍の危険から米国民を守るには、外国に戦争の大義(just causes for war)を与えないよう自制するだけでなく、敵意や侮辱を誘わないようにしなければならない。戦争の大義はでっち上げることもできるからだ。 (ジョン・ジェイ)
http://oll.libertyfund.org/quotes/288

2016年6月3日金曜日

〔本〕『日本会議の研究』


権力による理想強制

リベラル派は日本会議の保守的な主張に同意しないだろう。だが権力で自分たちの理想(福祉国家)を他人に強制しようとする態度は同じ。根底には共通する国家主義。そこに今の日本の危機の本質がある。

<抜粋>
「緊急事態条項の創設」「憲法24条を改変し家族条項を追加すること」「憲法9条2項を改廃すること」という、最近にわかに活性化した改憲論議は、その内容と優先順位ともに、日本会議周辺、とりわけ「日本政策研究センター」の年来の主張と全く同じである…。(p.234)

「日本青年協議会」の会長であり日本会議事務総長である椛島有三も、“安倍総理の筆頭ブレーン”と呼ばれる「日本政策研究センター」を率いる伊藤哲夫も、「生長の家学生運動」の出身である…。(p.234)

現在の「生長の家」は、3代目総裁・谷口雅宣のもと過去の「愛国宗教路線」を放棄し「エコロジー左翼」のような方向転換をしており、目下、この路線変更に異を唱える人々が「生長の家原理主義」ともいうべき分派活動を行っている…。(p.235)

「谷口雅春先生を学ぶ会」…が「生長の家原理主義」の中心団体であり「学ぶ会」には、稲田朋美や衛藤晟一などの首相周辺の政治家をはじめ、百地章、高橋史朗など「保守論壇人」「保守派言論人」が参加している…。(p.235)

2016年6月2日木曜日

〔翻訳〕インフレは破局をもたらす

Ludwig von Mises Institute
発売日 : 2011-09-19

*ソーントン編『ミーゼス引用句集』(The Quotable Mises)より。

<抜粋>
インフレーション(通貨膨張)が続くと必ず破局(catastrophe)をもたらす。

政府が増税に乗り気でなく、国債発行もできないとき、いつもインフレーション(通貨膨張)の助けを借りる。これが事の真相(truth of the matter)である。

今インフレと呼ばれるものは本来のインフレではない。本来のインフレとは、お金とその代用品(substitutes)の量が増えることである。ところが今は商品価格・賃金率全般の上昇をインフレと呼ぶ。それは本来のインフレの結果にすぎない。

インフレーション(通貨膨張)は遅かれ早かれ、終わりが来る。それは持続できない(cannot last)政策なのである。

インフレーション(通貨膨張)とは神の仕業(act of God)ではない。天災でもなければ疫病でもない。インフレーションとは政策である。

2016年6月1日水曜日

〔本〕『忘却のための和解』


日本言論界の退廃

日本で左右の言論人と大手メディアから絶賛された『帝国の慰安婦』。ところが同書は不正確な事実と杜撰な論理に基づき、日本政府・軍の法的責任逃れを擁護するものだった。日本言論界の退廃を厳しく批判。

<抜粋>
本書(『帝国の慰安婦』)は日本軍の「発想」「需要」「黙認」という限定した責任のみ認めるが、これが軍「慰安婦」制度の実態に見合ったものではなく、むしろ軍の責任を個々の兵士や業者へと転嫁する責任解除の論理である。(p.37)

「慰安婦」たちは逃亡や外出を厳しく制限され移動を含めた支配を受け、何より自らの意思によりこうした隷属的状態を終了させられなかったうえ、軍・業者が労働能力を全面的に使用し労働の果実を収奪する権限を有していたがゆえに、奴隷制の一形態である性奴隷制であった…。(p.42)

「慰安婦」制度の罪を問いうる法は(刑法や国際法など)日本国内でも国際的にも存在したのである。むしろ問題は法の不存在ではなく、植民地下での婦女売買禁止条約の不適用による不処罰にある。(p.49)

『帝国の慰安婦』(が日本で絶賛される)事態は、「リベラル」な知識人たちの「戦後日本」の肯定を欲するナショナリズムなしには起こりえなかった現象である。『帝国の慰安婦』事態から読み取るべきことは韓国の「反日ナショナリズム」ではなく…日本の「市民派リベラル」の「頽落」現象なのである。(p.136-137)