2017年3月28日火曜日

川上泰徳『「イスラム国」はテロの元凶ではない』


混乱の原因でなく結果

欧米でも日本でも、過激派組織「イスラム国」(IS)が中東の混乱をもらたす最大の原因のように思われている。しかしそれは正しくない。本書が指摘するように、「イスラム国」は混乱の原因ではなく、結果にすぎない。

混乱のそもそもの原因は、米政府が開戦理由をこじつけて始めたイラク戦争にある。「イスラム国」を武力で倒そうとすれば、同じ轍を踏むだろう。以下、抜粋。(数字は位置ナンバー)

イラク戦争は大義のない戦争であり、中東と世界を不安定にしたという認識は、米国内でさえ広く受け入れられている。〔略〕いままた欧米は「イスラム国」への対応で決定的に間違っているのではないか〔略〕。(624)

「イスラム国」がすべての問題を主導しているかのように、欧米や日本では受けとめられた。だが、「イスラム国」はイラク戦争後に起こった中東の混乱の産物だ、ということを忘れてはならない。(1884)

いま、欧米でも日本でも、「イスラム国」が中東の混乱を引き起こしている最大の原因のように思われているが、〔略〕「イスラム国」は第一義的には混乱の原因ではなく、混乱の結果なのである。(2665)

「イスラム国」が世界のイスラム教徒にテロを呼びかけるのは、米欧が「イスラム国」に対して「グローバルな対テロ戦争」として空爆を始めた後なのである。(2673)

「イスラム国」は、殊更に自分たちが欧米と敵対する構図を示すことによって、世界を分裂させようとしている。〔略〕米欧も安易な軍事的手段に訴えることによって「イスラム国」の肥大化に手を貸している。(2680)

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