2017年4月6日木曜日

小林章夫『コーヒー・ハウス』


弾圧された私営郵便

経済学の本では、初期投資が巨額で民間企業では負担しきれない公共サービスは政府が行うのが当然だと教える。その例としてよく上がるのは郵便である。しかし本書が記すとおり、17世紀の英国では民間の企業家による私営郵便が立派に市民の役に立っていた。官営郵便を運営する政府はこれを弾圧し、廃業に追い込む。

私営郵便の中継所として機能したのは、これも私営のコーヒー・ハウスである。コーヒー・ハウスはジャーナリズムや保険業の発展の拠点にもなる。以下、抜粋。(数字は位置ナンバー)

1680年にウィリアム・ドックラが創設したペニー郵便は、戸別配達制度を取り入れた点で革命的なものであったといってよい。〔略〕市街地からやや離れた地区は局留めが普通だが、1ペニー余計に払えば戸別配達も行なわれる。(2012)

〔民営のペニー郵便によって〕ロンドン市民は大いに手紙のやりとりを行なったのだが、官営の郵便制度を有していた政府の弾圧もあって、1683年には廃業を余儀なくされた。(2020)

船舶郵便というのは、外国向けの郵便物のことだが、普通は官営の郵便船によって運ばれていたものの、船の数が少なく需要に追いつかなかったので、商船や軍艦に託して送られていた。(2015)

政府はこうした〔外国向けの郵便物を商船や軍艦に託す〕方法は、官営の郵便制度を邪魔するものだとして規制したが、その効果もなく、直接船長に郵便を渡す方法がよくとられていた。(2026)

船長は〔略〕コーヒー・ハウスの店のなかに麻の袋を下げて出港日時、行先などを掲示し、郵便物の受付けを行なった。〔略〕コーヒー・ハウスは船舶郵便物を取り扱う〝私設〟外国郵便局として機能し、官営の郵便制度の不備を補完した。(2030)

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