2015年2月18日水曜日

ピケティのおとぎ話

ロバート・マーフィー(Robert P. Murphy, 米エコノミスト)
――トマ・ピケティ『21世紀の資本』について。(2015年)
ピケティが大げさに言い立てる「事実」によれば、〔大恐慌発生時の米大統領〕ハーバート・フーヴァーは企業を清算したがり、所得税率を引き下げた。ピケティの物語では、そこへフランクリン・ローズヴェルトが登場し、増税をおこなった。問題は、これがまったく間違っていることである。減税したのは〔フーヴァーの前任の〕カルヴィン・クーリッジで、増税したのはフーヴァーだった。
# ピケティのベストセラーに対する賛辞は大きく二つに分かれる。一つは「格差を是正せよという主張がすばらしい」というもの。もう一つは「主張には必ずしも賛同できないが、じつによく調べてある」というものだ。ところがこの本には、事実の誤りや統計の不適切な取り扱いが多く指摘されている。上記のマーフィーも間違いを論文で列挙しており、紹介したのはその一つ。補足すると、バブル破裂で経営難におちいった不振企業は政府が税金で助けたりせず、すっぱり清算せよと説いたのはフーヴァーではなく、財務長官のアンドリュー・メロンである。フーヴァーはむしろメロンの清算主義を時代遅れと批判している。なおフーヴァーが自由放任主義者だったという、一般に流布した説はおとぎ話のたぐいにすぎない。技師出身で社会を自在に改造できると信じたフーヴァーは、ニューディール政策の先駆者ともいうべき介入主義者だった。(木村)
Specifically, Piketty makes a big deal of the “facts” that Herbert Hoover wanted to liquidate businesses, and that he had cut income tax rates. Then, in Piketty’s narrative, FDR came along and jacked taxes way up. The problem is that this is all false. It was Calvin Coolidge who had lowered tax rates, and Herbert Hoover who jacked them way up.

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